2011 Fiscal Year Annual Research Report
貴金属ナノ粒子のパルスレーザー誘起サイズ減少の実験的・理論的解明
Project/Area Number |
11J07976
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
WERNER Daniel 徳島大学, 先端技術科学教育部, 特別研究員(PD)
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Keywords | レーザー / 金ナノ粒子 / 形態変化 / サイズ減少 / 熱移動 / バブル / 超臨界 |
Research Abstract |
まず、フェムト秒レーザー照射による時間分解分光計測をおこなった。直径60nmの金ナノ粒子分散液に波長800nm,150fsのレーザーパルスをレーザー強度を変化させながら照射した。金ナノ粒子のレーザー加熱により、プラズモンバンドの幅広化による過渡的ブリーチが起こることは既に知られている。この過渡的ブリーチは等吸収点を持つことから、この波長でモニターすることにより、スペクトルの温度変化の影響を受けることなく、サイズ減少によるプラズモンバンドの過渡的減少を観測できると考えて、実験した。その結果、波長490nmにおいて、レーザー強度に依存した、プラズモンバンドのブリーチを観測した。この信号は約20-100psの時間範囲で観測され、この時間範囲で金ナノ粒子の分裂がおこると考えられる。分裂のためのしきいレーザーエネルギーは7mJ/cm2であり、レーザー強度に依存した金粒子温度のシミュレーションによれば、このレーザー強度では金は融点には達するが、沸点よりはるかに低い。このため、光熱過程による金の蒸発は考えにくい。 この場合、クーロン爆発のしきい値は超えており、クーロン爆発を観測したと考えるのが妥当である。ただし、実験的には2つの課題が残る。第1に、アンサンブル測定であるため、1つの粒子の分裂を直接見ているとは言い難い。第2に、金からの熱移動により媒体である周囲の水が加熱され、これによる水の屈折率低下のためにプラズモンバンドの強度低下が起こる可能性があり、これの寄与を見積もる必要がある。 第2のアプローチは、金ナノ粒子水溶液を高圧下に置き、そこでのレーザー照射による形態変化およびサイズ減少を見ることが課題である。常圧の水溶液中では、レーザー加熱された金粒子からの熱移動により、媒体である水の加熱が起こる。これが著しいい場合、superheating状態になり、300℃あたりで爆発的蒸発が起こり、金ナノ粒子周囲にバブルが発生するというのが最近の通説である。このバブルの影響を調べるためには、加圧状態にしてバブル発生を抑えて実験するのが1つの手法である。そこで、加圧下でレーザー照射と分光測定ができる装置を開発し、これを使った実験を開始した。現在のところ、基礎的なデーターを取っている段階だが、おぼろげながらその実像が見えつつある。すなわち、臨界圧である22.1MPa以上に加圧することにより、周囲の水の温度が臨界温度647Kを超える場合、バブルはもはや発生することができず、その代わりに超臨界状態になる。超臨界状態の金ナノ粒子への影響としては、バブルに比べて熱移動効率が高くなり、冷却効率がよくなると考えられる点である。我々は、高圧印加によって金ナノ粒子の形態変化がむしろ抑えられる傾向を観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定したように時間分解分光計測により、金ナノ粒子のサイズ減少を直接捉えることができた。 また、高圧実験に関しても、装置開発および実験が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計算によるシミュレーションを更に発展させ、金ナノ粒子の温度上昇による周囲媒体屈折率変化による吸収スペクトルおよび散乱スペクトル変化を予測できるようにし、実験データの解釈を進展させる必要がある。
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Research Products
(2 results)