2011 Fiscal Year Annual Research Report
相転移カイネティクスとダイヤモンド包有物に基づく地球深部の鉱物構成の解明
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11J08170
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西 真之 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 相転移カイネティクス / 拡散 / ガーネット / ペロブスカイト / 下部マントル / マントル対流 |
Research Abstract |
ガーネットは地球深部の主要鉱物であり、下部マントル最上部でその高圧相へ相転移する(ポストガーネット相転移)。しかしながら、この相転移は非常にその進行が遅いことが知られており、沈み込むプレート内ではほとんど相転移せずにガーネットが準安定相として残る可能性が指摘されている。鉱物が準安定相として地球深部に沈み込む場合、相転移境界からの過剰圧が徐々に大きくなるため、相転移メカニズムが変化し、相転移速度が不連続に増加する可能性がある。今回、単結晶ガーネットを出発物質とし、32GPaを超える圧力領域で高圧相へ相転移させ、その急冷回収試料の分析から相転移メカニズムの圧力による変化を考察した。高圧実験にはマルチアンビル型高圧発生装置を用い、試料の観察、分析にはFE-SEMとTEMを用いた。 ポストガーネット相転移は、30GPa程度の圧力領域では結晶界面から進行することが知られているが、本実験では、35-38GPa,1100℃以上の温度圧力条件では相転移メカニズムが変化し、粒内核形成が起こることが明らかとなった。また、比較的低圧領域ではこの相転移は4相程度に分解するが、38GPaを超える圧力領域ではほぼ単相へと相転移することが明らかとなった。この粒内核形成と単相への分解は、相転移速度を著しくに上昇させるため、沈み込むプレート内ではポストガーネット相転移がこのような高過剰圧領域で急激に起こる可能性がある。その場合、地球の900-1000km程度の深さで、地震波速度が不連続に変化するかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ガーネットの相転移カイネティクスを左右するメカニズムを発見することができ、最終的な目的達成に向けての重要な成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度行ったガーネットの相転移実験を国際誌に投稿し、成果を公表する。 また、申請書にあるダイヤモンド包有物に関する研究に関してはデータが得られていないので、引き続き申請書にある手法を用いて研究を進める。
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