2012 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトン信号伝達系の解析及び菌根菌共生とのクロストークの解明
Project/Area Number |
11J08230
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 明希子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | イネ / 発生形態 |
Research Abstract |
ストリゴラクトン(SDは、栄養生長の分枝を抑制する植物ホルモンとして知られている。このSLは、植物体がリン酸欠乏にさらされたときに、根の部分で合成され、植物体の中を通って地上部のシュートへと移動することもまた示唆されている。しかし、SLの受容・信号伝達のメカニズムについては依然として不明な点が多い。さらに、リン酸欠乏下において、ストリゴラクトンが地下部の根から地上部のシュートへとどのように移動してシグナル分子として機能しているかについては、不明である。そこで本年は、植物体内を移動するシグナル分子の研究の蓄積が長年ある研究室にて、植物体内の根から地上部のシュートへとシグナル分子がどのように移行するのかについての技術を取得し、研究を進めた。植物体内の根から地上部のシュートへのシグナル分子は、主に導管を介して移行する。イネでは、この導管を通る導管液の回収が困難であることから、導管液が十分に回収できるキュウリを用いて解析をおこなった。まずは、キュウリの導管に直接、人工的な導管液を注入して、植物個体にリン酸欠乏条件を擬似的に引き起こせるかどうかについての系の確立を試みた。新しく確立した系を用いて、リン酸の濃度自体が、植物体にとってリン酸が不足していることのシグナルになり得る可能性があることを明らかにした。今後は、リン酸欠乏条件下の根で合成されるSLが、リン酸欠乏のシグナルとして地上部のシュートへと、どのタイミングでどのように移行しているのかについて明らかにする必要がある。また、植物の分枝は、栄養成長と生殖成長の両方に見られる。生殖成長の分枝に関してはまだ未解明である。そこで、昨年度は、生殖成長の分枝過剰変異体TAW1を用いた解析も合わせて行っていた。本年度は、この成果を論文としてまとめて公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストリゴラクトン(SDは、現在もっとも注目を集めている植物ホルモンのうちの一つである。しかし、植物体内の根でSLが作られてシュートへといつどのように移動しているのかについては未知である。今回は、導管に人工液を注入する系を確立することを試みた。植物体の茎に直接、人工液を注入するのは容易ではなかったが、新規の系を確立することができた。今後はこの系を用いて、SLがいつどのように移動しているのかについての解析がすすむことが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
植物個体の中で、栄養成長の分枝と生殖成長の分枝とは、トレードオフの関係にあり、それらの分枝数は反比例する傾向があることが知られている。このことに、ストリゴラクトン(SL)がどのように関与しているのかについて解析を行う。また、イネにおいて、リン酸が欠乏した条件下で根において合成されたストリゴラクトンのシグナルがどのように地上部の葉へと伝わるのかについてを明らかにしていく予定である。
|
-
[Journal Article] The Plant Vascular System : Evolution, Development and Functions.2013
Author(s)
William J. Lucas, Andrew Groover, Raffael Lichtenberger, Kaori Furuta, Shri-Ram Yadav, Yk a Helariutta, Xin-Qiang He, Hiroo Fukuda, Julie Kang, Siobhan M. Brady, John W. Patrick, John Sperry, Akiko Yoshida, Ana-Flor Lopez-Millan, Michael A. Grusak, Pradeep Kachroo.
-
Journal Title
Journal of Integrative Plant Biology
Volume: (印刷中)
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] TAWAWA1, a regulator of rice inflorescence architecture, functions through the suppression of meristem phase transition.2013
Author(s)
Akiko Yoshida, Masafumi Sasao, Naoko Yasuno, Kyoko Takagi, Yasufumi Daimon, Ruihong Chen, Ryo Yamazaki, Hiroki Tokunaga, Yoshinori Kitaguchi, Yutaka Sato, Yoshiaki Nagamura, Tomokazu Ushijima. Toshihiro Kumamaru, Shigeru Iida, Masahiko Maekawa, Junko Kyozuka.
-
Journal Title
Proc Natl Acad Sci USA
Volume: 100
Pages: 767-772
DOI
Peer Reviewed
-
-
-