2013 Fiscal Year Annual Research Report
非一様宇宙モデルを用いたダークエネルギー問題およびコペルニクス原理の検証
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11J08343
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西川 隆介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダークエネルギー |
Research Abstract |
平成25年度は研究課題「非一様宇宙モデルを用いたダークエネルギー問題およびコペルニクス原理の検証」の遂行のために、特に非一様宇宙モデル上の銀河や銀河団などの構造形成に注目して研究を行った。これらは宇宙モデルの性質を強く反映することが期待されるので、非一様宇宙モデルの検証に有用と考えられている。具体的な研究成果について以下に記す。 以前に我々が提案した解析方法を用いて、非一様宇宙モデル上のゆらぎの時間発展を追い、得られた結果からゆらぎの統計的な性質を明らかにした。ここでは、ゆらぎの統計的性質を特徴づける密度ゆらぎ2点相関関数を解析した。簡単のためにゆらぎの初期条件の統計的性質は一様等方時空上と同じにした。密度ゆらぎ2点相関関数を計算した結果、2点相関関数にゆがみ(非等方性)が現れることを示した。そして、そのゆがみは非一様宇宙モデルに存在する潮汐力に起因することを明らかにした。一様等方宇宙モデルには背景時空に潮汐力が存在しないので、このゆがみを反映した観測量は宇宙原理の検証に有用であることが期待される。潮汐効果を反映した検証はこれまでほとんど考慮されていなかったので、本研究は宇宙原理の新たな検証方法の基礎づけとなる成果を得たといえる。本研究の成果を論文にまとめ発表した。 また、非一様宇宙モデル上のニュートン的構造形成についての定式化を行い、その成果を学位論文の中で発表した。この研究により、非一様宇宙モデル上の非線型構造形成が明らかになる可能性があり、非一様宇宙モデルの研究の中で大きな意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非一様宇宙モデル上の密度ゆらぎ相関関数の研究は、銀河分布の観測を用いて非一様宇宙モデルの検証をする上での、重要な基礎づけを与えるもので、高く評価されるべきものと考える。また、非一様宇宙モデル上のニュートン的構造形成についての定式化を行ったことで、非一様宇宙モデル上の非線型構造形成が明らかになる可能性があり、高く評価されるべきものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の提案した解析方法を用いて、背景時空に存在する宇宙論スケールの非一様性が構造形成に与える影響を、線型領域から非線型領域まで多岐に渡り明らかにする。特に、非線型領域については宇宙論的N体シミュレーションを実行する。さらに、これまでの理論解析で得た結果を銀河分布の赤方偏移空間ゆがみや重力レンズ効果、宇宙背景輻射における積分ザックスヴォルフェ効果などを反映した観測から得られている結果と比較して非一様宇宙モデルを検証する。また、解析した結果を手がかりにしてコペルニクス原理の正当性を決定づける新たな観測量を提案する。
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Research Products
(5 results)