2011 Fiscal Year Annual Research Report
二本鎖RNA結合タンパク質TRBPの遺伝子サイレンシングにおける機能
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11J08395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 朋子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1) (00738792)
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Keywords | RNA interference |
Research Abstract |
本研究の目的は、二本鎖RNA結合タンパク質であるTAR-RNA binding protein(TRBP)の、小分子RNAによる遺伝子サイレンシングにおける機能の解析である。 TRBPは3つの二本鎖RNA結合ドメインをもつタンパク質(dsRBD-1,dsRBD-2,dsRBD-3)であり、RNAi経路において、small interfering RNA(siRNA)をDicerからAgo2へとロードする役割があるとされている。また一方PACT(a protein activator of PKR)も3つの二本鎖RNA結合ドメインを持ち、RNAi経路において、TRBPと同様の機能をもつとされている。 TRBPとPACTはRNAi経路において重要な因子であるにも関わらず、siRNAとの結合様式や詳細な機能について未解明な部分が多い。 本研究ではこれまで、ゲルシフトアッセイやゲルろ過クロマトグラフィーによって、TRBPが低濃度のときに、TRBP1分子がdsRBD-1とdsRBD-2を介して、siRNA1分子と結合すること、高濃度のときにTRBP2分子とsiRNA1分子が結合することを明らかにした。またPACTは低濃度のときにはsiRNAと結合せず、高濃度のときにPACT2分子とsiRNA2分子が結合することも明らかにした。 以上の結果から、まずTRBPはPACTと比べてより積極的にRNAi経路に関与していると考えられる。また、TRBPとPACTは非常によく似たドメイン構造であるのにも関わらず、siRNAとの結合様式は異なっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二本鎖RNA結合タンパク質であるTRBPのRNAiにおける機能を調べるために、まずsiRNAとTRBPの結合様式について検討を行ったが、その際にRNAi経路においてTRBPと同様の機能をもつと示唆されているPACTとsiRNAとの結合様式についても同時に検討を行い、TRBPとPACTではsiRNAに対するアフィニティーや結合様式が異なるという全く新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、今回得られた知見をもとに、二本鎖RNA結合タンパク質であるTRBPとPACTのRNAiにおける機能を調べる予定である。またTRBPとPACTは細胞がストレス条件下にあるときやウイルス感染時にアポトーシスの経路に関与していることが知られている。こちらについても検討を続けていきたい。
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