2012 Fiscal Year Annual Research Report
二本鎖RNA結合タンパク質TRBPの遺伝子サイレンシングにおける機能
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11J08395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 朋子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1) (00738792)
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Keywords | RNA interference / 二本鎖RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究の月的は二本鎖RNA結合タンパク質TAR-RNA binding protein(TRBP)の、小分子RNAによる遺伝子サイレンシングにおける機能の解析である。 TRBPは3つの二本鎖RNA結合ドメインをもつタンパク質であり、RNAi経路においてsiRNAのRISC loadingを補助する機能をもつとされている。一方、a protein activator of PKR(PACT)も3つの二本鎖RNA結合ドメインをもつタンパク質であり、RNAi経路においてTRBPと同様の機能をもつとされてきた。しかしながらその機能やsiRNAへの結合様式の詳細は明らかではない。そこで本研究ではin vitroでTR8PもしくはPAcTとsiRNAの結合実験を行い、これらのsiRNAへの結合様式の比較を行った。ゲルシフトアッセイやゲルろ過クロマトグラフィーから得られた結果は以下の通りである。 まず、TRBPはPAcTに比べ非常に高いsiRNA結合能を持ち、モノマーでsiRNAに結合することが出来る。一方PACTのsiRNA結合能はTRBPに比べ低く、ダイマーでのみ結合することが出来る。以上のことからTRBPはPACTに比べよりRNAi経路に取り込まれやすいと考えられる。生体内においてTRBPやPACTはDicerなどその他のタンパク質と相互作用することが知られているが、このようなTRBPとPAcTのsiRNAに対するアフィニティーや結合モードの違いは、Dicerによる小分子RNAの切断部位や、RLCの安定性、小分子RNAのRISC loadingに関わるステップに影響を与える可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二本鎖RNA結合タンパク質であるTRBPとPAcTのRNAi経路における機能について調べるために、siRNAへの結合様式の比較を行ったが、同様の機能をもつとされてきたこれらのタンパク質において、siRNAへのアフィニティーや結合様式に違いがあることを明らかにすることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、今回得られた知見をもとに二本鎖RNA結合タンパク質であるTRBPとPAcTのRNAiにおける機能について調べる予定である。本研究によりTRBPとPACTは3つの二本鎖RNA結合ドメインをもつという非常によく似たタンパク質であるのにも関わらず、siRNAへのアフィニティーや結合様式に違いがあることが明らかとなったが、その違いが生じる詳細についてはいまだ明らかではないので、検討したい。
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