2011 Fiscal Year Annual Research Report
O-アシルイソペプチド法 : アミロイドペプチドの効率的合成と阻害剤開発への応用
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11J08493
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川島 浩之 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドベータ / O-アシルイソペプチド法 / クリックペプチド |
Research Abstract |
本研究は我々独自の方法論である「O-アシルイソペプチド法」を応用し、アルツハイマー病関連アミロイドペプチド(Aβ)について、その神経細胞毒性発揮メカニズムの解明と、毒性本体となるAβ分子種の形成を阻害する化合物をデザイン・合成し、その活性を評価する事を目指すものである。当該年度では、以下の内容で研究を実施した。 1、合成Aβの定性、及び細胞毒性の評価 合成Aβの定性は、円偏光二色性試験(ペプチド二次構造の評価)、ウェスタンブロット(早期凝集過程の評価)、チオフラビンTアッセイ(後期凝集過程の評価)、原子間力顕微鏡(アミロイド線維形成の可視的評価)などを用いて評価した。アルツハイマー病の発症は、患者脳内におけるAβの異常蓄積(アミロイド仮説)が原因であると考えられており、Aβの凝集状態はその毒性と強く関連している。従って、Aβの凝集という複雑な多段階過程を理解することは本研究の目的遂行において大変重要である。 また、PCIl2細胞を用いて合成Aβの細胞毒性評価も行った。 これらのアッセイ系を組み合わせる事で、Aβ分子の凝集過程を多角的に評価する事が可能である。 2、Aβに関する種々の誘導体の合成とそれらの化合物の定性 現在までに、Aβの凝集に何らかの影響を与えるいくつかのペプチド性化合物を合成している。Aβのアミノ酸配列を基にデザインされた他の誘導体についても、Fmoc固相合成法により合成し、円偏光二色性試験や原子間力顕微鏡を用いて順次一次評価を行っていく次第である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した内容に沿って研究を進める事ができている。O-アシルイソペプチド法の開発がやや遅れている分、Aβの凝集に影響を与える化合物の創製が想定よりも進展しているため(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに確立したアッセイ系では、合成した阻害剤候補化合物がAβ分子と相互作用する事を直接的に観察する事が難しいという問題がある。今後Aβの凝集阻害剤を探索していく上でこの問題は非常に重要であるが、次年度より新たに「蛍光顕微鏡」や「動的光散乱法」などをアッセイ系に導入する事で、より深く研究を進めていく事ができると考えている。 研究計画変更の予定はないが、比較的進展のみられるAβの凝集に影響を与える化合物の創製及びその活性評価については、今後はさらに力をいれて研究を行う予定である。
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