2012 Fiscal Year Annual Research Report
O-アシルイソペプチド法:アミロイドペプチドの効率的合成と阻害剤開発への応用
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11J08493
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川島 浩之 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドベータ / ο-アシルイソペプチド法 / クリックペプチド / 凝集阻害剤 |
Research Abstract |
本研究は我々独自の方法論である「O-アシルイソペプチド法」を応用し、アルツハイマー病関連アミロイドペプチド(Aβ)について、その神経細胞毒性発揮メカニズムの解明と、毒性本体となるAβ分子種の形成を阻害する化合物をデザイン・合成し、その活性を評価する事を目指すものである。当該年度では、以下の内容で研究を実施した。 1、AβのO-アシルイソペプチドがAβの凝集に与える影響を評価 酸性条件下、AβとAβのO-アシルイソペプチドを共存させる事で、Aβの凝集にどのような影響を与えるかを調べる為に、チオフラビンTアッセイ(Aβ凝集の定量)、ウエスタンブロッティング(Aβオリゴマー形成の定量)、原子間力顕微鏡(繊維形態の評価)などを用いて評価を行った。 AβのO-アシルイソペプチドは、25位Gly-26位Serにエステル結合を持つ事以外はネイティブAβと同様の構造をもつにも関わらず、非凝集性を有するため、本研究はAβの凝集メカニズムの解明に貢献する事が期待される。 2、Aβのアミノ酸配列を基にデザインしたペプチド性凝集阻害剤の探索 Aβのアミノ酸配列を基にペプチド性のAβ凝集阻害剤のデザイン・合成及びそれらの凝集阻害活性の評価を、チオフラビンTアッセイ(Aβ凝集の定量)、ウエスタンブロッティング(Aβオリゴマー形成の定量)、蛍光アニソトロピー測定(Aβの初期凝集の評価)、原子間力顕微鏡(繊維形態の評価)などを用いて行った。 これにより、Aβの凝集という複雑な過程を多角的に分析し、合成したペプチド性の凝集阻害活性を総合的に評価する事で、Aβの凝集阻害剤の開発に貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aβの凝集メカニズムの解明に向けた研究、及び凝集阻害剤開発研究を現在行っているところであり、O-アシルイソペプチド法の開発研究に関しても、申請者を第3著者として論文発表を行う事ができた。従って、申請書に記載した内容に沿って研究を進める事ができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、合成したペプチド性化合物について、生化学的なアッセイを用いる事でAβの凝集に与える影響を詳細に検討していく。さらに、阻害剤がAβにどのように作用して凝集に影響を与えているのかを解明するために、阻害剤とAβの相互作用メカニズムの解明研究を行う予定である。 本研究を遂行する上での問題点として、現在までに合成を行ったペプチド性化合物は、いずれも分子量が非常に大きいという事が挙げられる。従って、創薬開発を指向するにあたり、より小分子化された化合物の創製を目指す必要がある。併せて、阻害剤とAβの相互作用をスクリーニングできるアッセイ系の確立に向けて取り組んでいく予定である。
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Research Products
(1 results)