2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロテアソーム阻害剤を用いた乳がん幹細胞標的治療法の開発
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11J08532
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡田 将史 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プロテアソーム阻害剤 / リポソーム / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
本研究の目的は、プロテアソーム阻害剤を利用して従来よりも効率的な乳がん治療法を開発することであった。今年度は(1)プロテアソーム阻害剤のスクリーニング、(2)薬剤キャリアーの開発の2点を中心に研究を進めた。 (1)プロテアソーム阻害剤のスクリーニング 前年度にひき続いて、100個余りの低分子化合物の細胞増殖抑制能および酵素阻害能を評価した。このスクリーニングの結果、阻害効果の強いプロテアソーム阻害剤を見出した。この阻害能力は従来のプロテアソーム阻害剤のそれを大幅に上回るものであった。プロテアソームとは近年、新たながん治療の標的タンパク質として認知されている。今回スクリーニングした化合物を利用して、新たな抗がん剤としての利用が期待される。 (2)薬剤キャリアーの開発 乳がん細胞の表面に高発現している分子であるErbB2に対する抗体トラスツズマブとDNAに結合するシスプラチンという抗がん剤を組み合わせて、マウスに移植した乳がん細胞の治療効果を評価した。リボソームという脂質2重膜で形成された大きさ約100nmの粒子内にシスプラチンを内封し、さらにその表面にトラスツズマブを結合させた。この粒子のがん細胞増殖抑制能を評価したところ、強い抗癌作用を示すリボソームを得られた。またリボソームの標的分子としてクロロトキシンというサソリの神経毒を利用した新規の標的方法も開発した。この標的方法を利用することで、悪性脳腫瘍に対する新たながん治療法の可能性を広げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドラッグキャリアーであるリボソームを乳がん幹細胞に送達するための適当な標的分子が見いだせなかった。標的分子としては数種類のものが報告されているものの、乳がん幹細胞のみに高発現している細胞表面の分子を利用することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究におけるプロテアソーム阻害効果の検証は、精製されたプロテアソームと検体を混合するという条件で行った。今後、抗がん剤としての応用可能性を検証するため、細胞内に存在するプロテアソームの阻害能を有するかどうかを評価する必要がある。また乳がん幹細胞特異的にドラッグキャリアーを送達するための標的分子を引き続き探索する必要がある。
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Research Products
(2 results)