2011 Fiscal Year Annual Research Report
NMR法によるGタンパク質シグナリングにおける構造メカニズムの解明
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11J08566
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間瀬 瑶子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 3量体G蛋白質 / NMR法 / G蛋白質シグナリング / 分子生物学 |
Research Abstract |
Gαのアミノ酸残基レベルでの構造・構造平衡の解析に必要な、主鎖NMRシグナルの帰属を行った。3重共鳴測定による主鎖連鎖帰属およびアミノ酸選択標識体を用いた解析を行うことにより、GTPγS結合型については帰属可能な主鎖アミドシグナルのうち95%の帰属を完了し、論文発表を行った。GDP結合型についても87%を完了している。 また、GαのNMRシグナルの磁場依存的な広幅化を調べ、構造平衡を有するGα上の部位を同定した。GDP結合型においては、GTPγS結合型において磁場依存性を示したリンカー1,αA/αB,αD/αE,switchIII,α4/β6に加え、GDPのβ位のリン酸基およびリボースと直接相互作用する領域においても磁場依存性が観測されたことから、これらの領域にも構造の揺らぎが存在することが分かった。 Gαに内在する構造平衡と、GαのGDP/GTP交換活性との関係を調べるため、まず、GDP/GTP交換活性を調べる蛍光を用いたアッセイ系を確立した。GTPγSを添加した際の内在性のTrp211の蛍光強度変化をモニターする系を構築し、野生型Gαについて、文献報告と同等のGDP/GTP交換速度定数を得ることを確認した。さらに、GDP/GTP交換速度が変調していることが報告されている変異体について、野生型との有意な差を観測できたことから、各条件下におけるGαのGDP/GTP交換を評価する準備が整った。 また、Gαβγ3量体のNMR解析に着手した。均一^2H,^<15>NGαに対してGβγを混合したスペクトルは、^1H方向の分散が良好であり、Gβγ結合部位以外にも、Gα単独時との化学シフト差が観測されていたことから、Gβγとの結合に伴い、Gαが構造変化もしくは構造平衡が変化していることが示唆された。今後、Gβγの結合がGαの構造平衡に与える影響を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的達成に向け設定した5項目の課題のうち、2項目(Gαの主鎖NMRシグナルの帰属およびGαの構造平衡を有する部位の同定)を完了し、1項目(常磁性緩和促進効果実験によるGαの分子内近接残基対の同定)については着手済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行のため、GαとGPCRとの相互作用解析を計画していたが、これに加え、Gαの構造平衡に摂動を与える因子として、Gβγとの相互作用解析を行う。現時点において、Gαに対してGβγを添加した際のNMRスペクトルにおいて、Gβγ結合部位ではない、GDP/GTP交換反応に重要なα5ヘリックスなどに化学シフト差が観測されており、Gαに対してGβγの結合が与える構造・構造平衡への影響を解析することで、GPCRにより促進されるGαのGDP/GTP交換反応にGβγが必要である理由を解明できる可能性がある。よって、今後、Gαβγ3量体のNMRシグナルの帰属を行い、Gαβγ3量体中におけるGαの構造・構造平衡の解析を行い、Gα単独状態の結果と比較する。
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