2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J08582
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 歩樹 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 暗黒物質 / 運動学的脱結合 / 荷電重粒子 / 宇宙物質密度揺らぎ |
Research Abstract |
暗黒物質の正体の解明は宇宙・天体物理学のみならず素粒子物理学においても重要な課題である. 私の研究では特に, 暗黒物質の素粒子的性質が宇宙物質密度揺らぎの成長(宇宙構造形成)に与える影響に注目している. 素粒子標準模型を超えた物理として有力視されているものの一つが超対称性である. 重力も超対称的であるとすると, 重力子(グラビトン)の超対称性粒子であるグラビティーノの存在が予言される. グラビティーノの特徴的な点は, 極めて寿命が長いことにある. 特にゲージ伝達型超対称性模型ではグラビティーノの寿命は宇宙年齢よりも長いため, 宇宙最初期に作られたグラヴィティーノは宇宙大規模構造にその痕跡を残す. A. Kamada et al. JHEP (2014)では, 将来の弱重力レンズ効果の観測及び加速器実験によってゲージ伝達型超対称模型におけるグラビティーノの質量をどの程度決定することができるか調べた. Large Hadron Collider (LHC)の14TeV運転により5eV以下のグラヴィティーノをもつゲージ伝達型超対称模型を発見可能であり, Subaru Hyper Suprime-Cam (HSC)はグラヴィティーノ質量が4eVであった場合に±1eVの精度で決定可能であることを示した. 昨年度A. Kamada et al. JCAP 1303 (2013) 008において長寿命荷電重粒子が矮小銀河問題の解決になりうる事を示した. その中では長寿命荷電重粒子がバリオン及び光子と強く結合していると仮定していた. 今年度はこの仮定の正当性を調べるために, 非相対論的な粒子(荷電重粒子)が熱的な分布を持つ粒子(バリオン・光子)と弾性散乱している場合の宇宙物質密度揺らぎの時間発展を一般的に定式化し, 10^<12>GeV以上の質量を持つ荷電重粒子は冷たい暗黒物質のように振る舞うことを示した. この結果をまとめた論文を準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(8 results)