2011 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアにおける一党支配体制とグッド・ガバナンス
Project/Area Number |
11J08592
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 裕史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | カンボジア / 一党支配 / グッド・ガバナンス |
Research Abstract |
2011年度は主として、(1)国内およびカンボジアにおいて、対カンボジア主要援助供与国・機関の政策文書や報告書や、カンボジアの国家開発計画に関する公文書、カンボジア支援国会合に関する資料、人民党の公式文書などを収集するとともに、(2)本研究の基礎となる学問分野(ガバナンス論、平和構築論、開発援助論など)に関する文献を精読した。 年次計画にある以上の点に加えて、次の2つの点にも取り組んだ。ひとつは、カンボジアがパリ和平協定の締結から20周年を迎えたことを機に、筆者が企画と運営の責任者となり、「開発下のカンボジアはいま:持続的な発展と平和に向けて」と題するシンポジウムを開催した(2011年10月15日、東京大学駒場キャンパス、参加者約70人)ことである。同シンポジウムは、筆者を含む中堅・若手の研究者・NGO職員を登壇者に迎え、過去20年間のカンボジアの変化と現状を、コミュニティを基礎としたミクロ・レベルの視点と、マクロ・レベルの政治・経済の視点から検証し、持続的な発展と平和の実現に向けた諸課題について議論した。 もうひとつは、カンボジアの公務員制度と実態に関する調査に着手したことである。ガバナンスの改善には公務員の質の向上が鍵となるが、現代のカンボジアの官僚制に関する先行研究はほとんど不在であり、公務員の採用・研修を含む制度と実態に関する基礎的な研究が必要である。このテーマに関する研究は、2012~2013年度に行なう計画であった。しかし、カンボジアでの調査中に幸いにも公務員庁長官への聞き取り調査を行なう機会を得たため、前倒しして実施した。公務員庁職員の協力を得て、公務員制度に関する法律や各種法令などの一次資料を収集することができた。これらの聞き取り調査と文献調査をもとに、現在、公務員制度の概要に関する研究ノートの執筆を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査と聞き取り調査は、ほぼ計画通りに進んだ。研究成果の発表が少し遅れているが、その一方で、2012~2013年度に予定していた研究の一部に着手することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究成果を積極的に発表するとともに、研究計画にもとづき、現地での聞き取り調査にも重点を置いて研究を進める。人民党の公式文書については、同党の情報公開の度合いが低いこともあり、党大会と党中央委員会総会の政治報告など、2011年度に入手できなかったものもある。これらに関しては、引き続き人民党関係者の人脈を頼りに収集を試みたい。
|