2013 Fiscal Year Annual Research Report
リアリスティック数理モデルの破壊を通じた、認知―脳相関における因果性の解明
Project/Area Number |
11J08652
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下野 昌宣 東京大学, 大学院 教育学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2014-03-31
|
Keywords | ネットワーク / 知覚 / 皮質-皮質下 / 細胞密密度 / 非一様性 / マクロ-ミクロ / 人-動物 |
Research Abstract |
・第一に、Diffusion Tensor Imaging(DTI)で計測した脳構造画像から、全脳84の脳領域をつなぐネットワークを再構成し、両眼視野闘争と呼ばれる多義図形における知覚交代の安定性の個人差に関与が深いと考えられるネットワークを抽出した。その結果、皮質下構造は知覚の安定化に、皮質構造は知覚の不安定化に寄与しているという大局的な特性が明らかとなった【雑誌論文2】。本プロジェクトに関連して重要な点は、(1)全脳の脳構造ネットワークを作成している点、(2)知覚との関連性を示した点、(3)皮質下組織も含めた評価に成功している点 である。この発表論文は、雑誌内での"Most Read article"のランキングに入った。 ・第二に、本年度中、サルの皮質における細胞密度分布の非一様性とネットワーク構造の関係性を示した研究を英文学会誌に発表した【雑誌論文1】。各脳領域にある細胞密度の非一様性を考慮することは、シミュレーションの成否を大きく左右すると予想されている。そのために必要な情報を活かして明確な進展をあった点が本プロジェクトにおいて重要である。少し付け加えると、現状、DTIでは向き付けのない構造ネットワークしか得られないが、サルの脳では向き付けのあるネットワークの情報がすでに得られている。その第一の成果の方針における不足を補完する役割を担う事を意識している。 ・最後に、数十μmスケールのミクロ回路の研究が予想外な形で進展し、その回路がロバストに示す特性の解明, 確かさの検証、深化が進んだ【学会発表4】。解明されたミクロ回路の情報を加える事により、プロジェクト開始以前から想定していた脳のマクロなネットワークの研究だけでは到達できないシミュレーションの質の向上を実現可能となる。本研究では、ラットもしくはマウスの脳を用いた。ヒトでは得られない情報を動物実験から補完するという方向において、研究のフレームを大きく育てる意味でも極めて重要である。近々、多くの成果を世の中に発表できるであろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(7 results)