2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体性単層カーボンナノチューブの選択的配向合成技術の開発とデバイス応用
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11J08717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井ノ上 泰輝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / CVD合成 / 配向制御 / 水晶基板 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWNT)の水平配向合成技術は高性能な半導体デバイス作製のために必要とされている.従来,SWNTの配向合成にはSTカット水晶基板が用いられてきたが,STカット水晶基板はカット面の角度が水晶の自然面に対応せず表面構造が複雑であり,配向合成機構の分析を阻害する一因となっていた.我々は自然面であるR面に平行にカットされたRカット水晶基板を新たに用いて,SWNTの配向がR面構造に由来することを示してきた.本年度はまず,基板に対する化学エッチング処理の効果を調べた.原子間力顕微鏡による基板表面の分析においては,エッチング処理前は水晶の結晶構造に由来するステップ・テラス構造がみられる一方で,エッチング処理後はエッチング反応の異方性による窪み構造が観察された。これらの基板を用い,エタノールを炭素源ガスとし,ゼオライト粒子に担持されたコバルト・鉄ナノ粒子を触媒としてアルコール化学気相成長法によりSWNTの合成を行った.SWNTは配向成長し,エッチング処理を行うことで配向性が向上することが確認された.また,水平配向SWNTを用いて半導体デバイスを作製する際,SWNTの密度の増加がデバイス性能の向上につながる.そこで,水平配向SWNTの密度の増加を目指し,合成時の炭素源供給量に着目してSWNT成長の時間変化を調べた.炭素源供給量が比較的低い場合,SWNTの成長待機時間は長く,成長速度は遅いが,最終的に高いSWNT密度が得られた.SWNTのバンドル化による配向性の悪化を防ぐことが,SWNTの密度向上に必要であることが分かった.また,ポリマー膜を用いて水晶基板上のSWNTをシリコン基板上に転写し,原子間力顕微鏡によりSWNTの直径を分析し,配向性への影響を調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い,水晶基板上での水平配向単層カーボンナノチューブの合成について研究を進めてきた.合成条件が成長過程に与える影響についての知見を得,構造制御合成に向けて必要となる水平配向単層カーボンナノチューブの密度制御合成を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに水平配向単層カーボンナノチューブの密度制御合成が可能になってきており,今後はこれを元に単層カーボンナノチューブの構造制御合成を目指す.単層カーボンナノチューブの構造の分析に重点をおき,半導体性・金属性の割合などを評価し,合成条件の影響を調べる.
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Research Products
(17 results)