2012 Fiscal Year Annual Research Report
半導体性単層カーボンナノチューブの選択的配向合成技術の開発とデバイス応用
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11J08717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井ノ上 泰輝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / CVD合成 / 配向合成 / 水晶基板 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWNT)の電子デバイス応用に向けては高密度に配向したSWNTを合成することが求められており,水晶基板の結晶構造に沿って水平配向SWNTを合成する方法が注目されている. 本年度はまず水晶基板の表面構造の影響を調べた.異なる表面処理工程を経た水晶基板を用意し,表面に存在する欠陥構造の密度を原子間力顕微鏡により測定し,それぞれの基板上で合成されたSWNTの配向性との関係を調べた.高い配向性を持つSWNTを合成するためには基板の欠陥密度の低下が必要であることが分かった.また,真空蒸着法および溶液滴下法により金属微粒子触媒を作製し,触媒の直径分布とSWNTの直径分布の関係を調べた.これらの知見は高密度な水平配向SWNTを合成するために重要である. さらに,合成された水平配向SWNT上に電極を形成して電界効果トランジスタ(FET)を試作し,電気特性を測定した.ドレイン電流のオンオフ比の値から,半導体SWNTと金属SWNTが混在することが確認された.高性能なFETの作製のためには金属SWNTによる電導経路を除去することが必要となる.そこで,既存のリソグラフィ技術とSWNTの転写方法を応用し,部分選択的にSWNTをバンドル化させる方法を考案した.転写中のSWNTに一時的に架橋構造をとらせることで,バンドル構造の作製に成功した.この方法は,プラズマ照射による部分的なSWNTの除去と組み合わせることで,SWNTネットワークの構造を一括に操作することを可能とする.水平配向SWNTを元にネットワーク構造を最適化することで,従来のランダムSWNTによるデバイスを超える性能を実現する可能性を持つ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い,水晶基板上での水平配向単層カーボンナノチューブの合成およびデバイス応用について研究を進めてきた.水晶基板の表面構造および触媒微粒子が合成される単層カーボンナノチューブに与える影響についての知見を得た.また,デバイスの試作を行い,電気特性を測定した.金属単層カーボンナノチューブの影響の除去に向けた新手法を試行した.
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Strategy for Future Research Activity |
単層カーボンナノチューブを部分選択的にバンドル形成する新手法と,プラズマ処理による単層カーボンナノ チューブの除去を組み合わせることで,単層カーボンナノチューブのネットワーク構造を制御する.金属単層カーボンナノチューブのみによる電導経路を十分に除去するとともに,単層カーボンナノチューブ同士の接触部の数を最小にすることで,高性能な電界効果トランジスタの作製を目指す.
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Research Products
(20 results)