2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼCδ1の表皮特異的欠損が全身性白血球増加を引き起こす機構の解明
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11J08751
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
金丸 佳織 東京薬科大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イノシトールリン脂質 / アトピー性皮膚炎 / バリア |
Research Abstract |
1.PLCδ1遺伝子欠損マウスの皮膚がアトピー性皮膚炎と類似しているのかどうかを調べることを目的とし、PLCδ1遺伝子欠損マウスの皮膚の解析を行った。アトピー性皮膚炎の皮膚で見られる肥満細胞や好酸球の浸潤を染色により検討したところ、これらの免疫細胞が増加していることが明らかとなった。アトピー性皮膚炎で見られる全身レベルでの異常である血中のイムノグロブリン量についてもPLCδ1遺伝子欠損マウスで検討したところ、IgE及びIgG1の増加が観察されることがわかった。 2.アトピー性皮膚炎では、皮膚バリア機能の低下が起きていることが知られているため、PLCδ1遺伝子欠損マウスの皮膚において体外からのFITCの浸透性を調べることで皮膚バリア機能を検討した。その結果、コントロールマウスに比べて、PLCδ1遺伝子欠損マウスでは、FITCの表皮内への浸透量が多く、Outside-insideバリアに異常があることが明らかとなった。近年アトピー性皮膚炎患者の原因遺伝子としてフィラグリンが同定された。フィラグリンは表皮バリア機能において重要な役割を担うタンパク質でその発現低下や局在異常は表皮バリア機能を低下させることが報告されている。そこでフィラグリンのマウス皮膚における発現を免疫蛍光染色により検討した。その結果、PLCδ1欠損マウスではコントロールマウスと比べフィラグリンの染色がより広範囲にわたって観察され、フィラグリンが異常な発現パターンを示すことが判明した。これらのことから、PLCδ1の欠損は皮膚バリア機能に重要なタンパク質であるフィラグリンの発現パターンを変化させることで皮膚バリア機能を低下させ、アトピー性皮膚炎様の異常を引き起こすことが強く示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ての実験計画がほぼ予定通り進められた。若干、計画通りに進める事が困難である部分もあったが、代換え手段を用いることにより当初の目的を果たすことができた。以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
PLCδ1の欠損は皮膚バリア機能に重要なタンパク質であるフィラグリンの発現パターンを変化させることで皮膚バリア機能を低下させ、アトピー性皮膚炎様の異常を引き起こすことが強く示唆された。そこで今後はPLCS1の欠損がフィラグリンの発現様式を乱す機構について更なる検討を進めていきたい
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Research Products
(5 results)