2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J08768
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
廣瀬 智士 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 機能的磁気共鳴画像測定 / fMRI / 脳情報復号化法 / 機械学習 / Sparse Logistic Regression / 到達運動 / 把握運動 / ヒト脳機能 |
Research Abstract |
到達把握運動(目で見た物体に手を伸ばしそれを掴む動作)は、把握対象の位置、形状といった情報を視覚から得て、その情報に基づいて対象に適した到達運動、把握運動を同時に生成し、さらに両者を時間的に協調させる必要がある。本研究は、非侵襲的に高い空間解像度でヒト脳の活動領域同定が可能な、機能的磁気共鳴装置(Functional Magnetic Resonance Imaging; fMRI)を用いて、ヒト脳内で到達把握運動を行う際、脳内のどの領域が到達運動と把握運動の協調に貢献しているかを調査する。本研究ではこの目的を達成するため、fMRI脳情報復号化法(fMRI信号から単純な活動を見るだけではなく、その活動の中にどのような情報が含まれているかを読み出す技術)を用いる。 従来のfMRI脳情報復号化法では、既存の機械学習アルゴリズムをfMRI信号に転用して情報を読み出すことが多かった。これでは、本研究のように、細かな情報の違い(ex.到達運動に関する情報なのか、到達運動と把握運動を協調させるための情報なのか)を描くことは難しい。従って、平成24年度はよりfMRI信号に適した新しいfMRI脳情報復号化アルゴリズムの研究開発を行った。この研究の成果は、昨年度Human Brain Mappingに投稿し、現在査読中である。 また、到達把握運動時のfMRI信号を記録する実験(協力者:9名)を完了した。実験では、協力者にfMRI装置内で、自身の手および2つの運動対象となる物体(ペットボトル)をfMRIコンパチブルカメラを通して呈示し、指示された方のペットボトルのキャップ部分を親指と人差し指でつまむ(精密把握)、もしくは、胴体部分を手全体を用いて掴む(握力把握)の合計4通りの運動をランダムに繰り返してもらった。この実験で得られたデータは現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に開発した復号化技術を論文にまとめ、投稿した。また、申請研究のうち、最も中心的な実験になる到達把握運動時の脳活動計測を完了させた。来年度前半には、この実験結果を論文にまとめ、投稿が可能であると考える。以上より、研究の進捗はおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度前半は、昨年度に完了した実験の解析、学術雑誌への投稿をまず優先的に行う。また同時に、到達把握運動のオンライン復号化実験の準備をすすめ、来年度夏期には、実験に取りかかる予定である。来年度後半には、このオンライン実験の結果を学術雑誌に投稿し、また、国内外の学会で、課題研究の結果を報告する。 予定に大きな変更は無く、期間中に十分完遂できると考えている。
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