2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物を用いた低エネルギー型白金族元素循環システムの構築と評価
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11J08898
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
玉置 洸司郎 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Shewanella algae / 白金族金属 / リサイクル / ナノ粒子 / 不均一触媒 / 湿式精錬 / 微生物反応 |
Research Abstract |
本研究課題は、「I.白金族金属(PGM)の新規リサイクル法」と「II.金属ナノ粒子の新規バイオ調製法」の両面を併せ持つ統合的技術を開発することを目的とする。H23年度は前者テーマを中心に実験的研究に取り組んだ。 「1.白金族金属(PGM)の新規リサイクル法」 産業の必須元素であるPGMの安定供給は、我が国の資源戦略の中でも重要である。特にPGM使用量の多い自動車触媒は、国内に存在する主なPGM資源「都市鉱山」として注目されており、「使用済み自動者触媒」からの低エネルギー型のPGMリサイクル技術の開発が急務となっている。本研究では、Shewanella属細菌の有する金属イオン還元能を利用して、従来法と比較して低エネルギーのプロセスを提案・検討した。H23年度は、共同研究企業から提供された「使用済み自動車触媒」を対象に、PGMを高効率でバイオ分離・濃縮し、金属ナノ粒子として、100%に近い収率で回収できることを実証できた。特に、従来全湿式の処理では達成されていないRhの回収において、100%に近い回収率が得られた点は意義深い。また、最終的に回収されるPGM金属ナノ粒子を担持させた微生物を焼却することによって、得られたPGM濃縮物は、PGM含有率70wt%程度の固体にまで濃縮できた。一方、H23年度予定のPGMイオンの相互分離などが翌年度に繰り越しになった。 「II.金属ナノ粒子の新規バイオ調製法」 回収と同時に細胞表面にPGMナノ粒子を合成できる点は、微生物細胞を担体に見立てたPGM担持触媒の調製法として大きな特長となる。この実効性を証明するために、「PGM担持触媒としての応用研究」を先行させた。その結果、バイオ調製したPGM担持触媒は、市販の触媒と比べて、高い活性を示すことがH23年度中に判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度は、実験的研究を中心として、興味深い現象を見出した。多量の実験データを収集できたが、学術論文の投稿が疎かになったことが反省点である。当初の研究計画(交付申請書に記載)とは変更が生じているが、H23・24年度の2年計画全体で眺めると、全体量の半分以上をH23年度にできており、総合評価としては期待通り研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「使用済み自動車触媒」から100%近い高い回収率でPGMを卑金属と分離し、濃縮、ナノ粒子化することができた一方で、一般に困難であるPGMイオンの相互分離を達成することが課題である。既に得られたPd、Pt、Rhに関してのバイオ吸着挙動、バイオ還元挙動における基礎的な知見を利用して微生物によるPGM相互分離の達成を検討する。
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Research Products
(8 results)