2013 Fiscal Year Annual Research Report
π電子系有機分子の電子移動特性に基づいたナノ集積体の精密配向制御と機能の創製
Project/Area Number |
11J08939
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
高井 淳朗 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, 特別研究員(PD)
|
Keywords | π共役系分子 / 酸化還元 / 電子的相互用 / 分子スイッチ / 電子デバイス / 有機半導体 |
Research Abstract |
本研究では、分子レベルで精密に設計・制御されたπ電子系分子の秩序をもった階層構造の構築および機能化を目的とする。昨年度までにフェロセンに直結した2つのπ共役系分子(ナフタレンジイミド : NDI)を合成し、NDIの積層構造をレドックスによって可逆的かつ定量的に制御することができた。さらに、NDIが積層することでn型有機半導体特性を示すこともわかった。これらの結果は、今年度Angew. Chem., Int. Ed,に掲載され、ブルゴーニュ大学での招待講演においても高い評価が得られた。 しかし、上記の分子ではNDIの積層構造が短距離秩序しか持たないため、十分な半導体特性は得られなかった。そこで、今年度は長距離秩序を持った新しいπ共役系分子の集積構造の構築と、その有機電子デバイスへの応用を目指した。新しいπ共役系分子と高い電子・ホール移動度を有するビルディングブロックを組み合わせることで、有効共役長の長いπ共役系高分子を合成し、その電気化学特性、光学特性、電子デバイス特性を系統的に評価した。その結果、合成したπ共役系高分子は、π共役系高分子が十分な溶解性を示すにも関わらずそのコンフォメーションが固定化され、溶液塗布とアニーリングによって電子(またはホール)導電パスが形成されることがわかった。NDI誘導体を含む高分子は溶液中・薄膜ともに可視-近赤外領域に同様の大きな吸収帯を有し、その薄膜は高い電子移動度(n型半導体特性)を示した。これらの成果は、現在アメリカで特許を申請済みであり、論文も投稿準備中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
π共役系分子まわりの空間をデザインすることにより、フィルム状態(固体・ゲル)においてもπ共役系分子の積層構造がスイッチング可能になれば、分子レベルでのπ共役系分子の構造変化を電子導電性などのマクロな物性変換へと応用可能である。 今後、外部刺激によりπ共役系の構造が制御可能な分子設計のコンセプトと、溶液塗布によって高い導電性を有するπ共役系高分子の分子設計を組み合わせることにより、これまでにない有機アクチュエーターや電子デバイスの創製を目指す予定である。
|
-
-
-
-
-
[Patent(Industrial Property Rights)] 特許権2013
Inventor(s)
Facchetti, A. ; Marks, T. J. ; Takai, A. ; Seger, M. ; Chen, Z.
Industrial Property Rights Holder
Facchetti, A.
Industrial Property Number
U. S. Patent (Provisional), 61/893,862
Filing Date
2013-10-21
Overseas