2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン量子ドットにおけるテラヘルツ単一光子検出
Project/Area Number |
11J08967
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 美穂 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グラフェン / グラフェンナノリボン / AFM陽極酸化 / 赤外光 / BN |
Research Abstract |
今年度行った研究は(1)AFMを用いた陽極酸化法による幅10nmのグラフェンナノリボンの作製およびその電気伝導測定、(2)SiO2基板上におけるグラフェンナノリボンによる赤外光検出の実験、(3)BN基板上のグラフェンナノリボンの作製およびその電気伝導特性である。 (1)グラフェン量子ドットによる赤外光検出の室温動作のためデバイスの微細化が必要である。そこで従来の電子線リソグラフィーより解像度の良いAFM陽極酸化法を採用し、幅10nmのグラフェンナノリボンの作製に成功した。電気伝導を測定したところ5Kまでトランスポートギャップを観測した。 (2)グラフェンナノリボンはグラフェン量子ドットに必要であり、それ単体の赤外光に対する応答を調べることは重要である。グラフェンナノリボンに赤外光を照射したところ、クーロンピークの半値幅の増加を観測した。クーロンピークの半値幅は温度に比例すること、またクーロンピークの温度依存性と変化が同様であったことからボロメトリックな効果によるものであると考えられる。またボロメーターとして光速応答、低雑音が期待できることがわかった。 (3)グラフェンをBN基板上に作製するとグラフェンの移動度が高くなることが最近の研究で示されている。サイクロトロン共鳴を用いたグラフェン単一量子ドットによる赤外光検出を行うためには移動度の高いグラフェンが必要であり、BN基板上でのグラフェンナノ構造の作製および伝導特性を観測することは重要である。今回世界で初めてBN上グラフェンナノリボンを作製しその電気伝導特性を測定し、移動度の高いデバイスを作製できたことを示せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェンナノ構造に赤外光を当て光を検出できたのは非常に大きな進展であると考えている。また、デバイスの高移動化のためBN上のグラフェンナノ構造を作製でき、またその電気伝導を測定したことは世界で初めてであり、今後の研究に大いに役立つ情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
BN上でのグラフェン単一量子ドットの作製およびその電気伝導特性を測定する予定である。電気伝導特性でランダウ順位の形成が観測されれば、赤外光検出の実験も行う予定である。
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