2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J09001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 容子 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゴルジ体 / TGN / ライブイメージング / 植物 / 膜交通 / Brefeldin A |
Research Abstract |
採用第2年度目までの研究により、タバコBY-2細胞では、BFA処理によって一部のcis槽マーカーがERES近傍の未知のドット状構造に局在し、この状態からBFAを除去すると、このドット状構造が集まることでゴルジ体の再形成が開始され、cis、medial、transの順に再形成が進むことが明らかになった。この結果から、このドット状構造がゴルジ体再形成の足場としてはたらくと考えられた。第3年度目には、cis槽マーカーのうち、BFA処理によってこのドット状構造に局在するもの(SYP31とRER1B)とERに局在するもの(ERD2)について、ゴルジ体層板構造内での詳細な局在の観察を行った。その結果、SYP31とRER1BがERD2よりもよりcis側の槽に主に局在することが明らかになった。このことから、ゴルジ体の中でも最もcis側の槽がその他の槽とは異なる性質を持っていることが示唆された。さらに、動物細胞との比較から、植物細胞のゴルジ体では、最もcis側の槽が動物細胞のERGICに相当する性質・機能を持っており、またBFA処理時に観察されるドット状の構造に、ゴルジ体層板構造の形成に関わる因子が局在しているのではないかと考えられた。タバコBY-2細胞で見られたシス槽マーカー同士の挙動の違いは、ER-ゴルジ体間輸送をBFA感受性に改変したシロイヌナズナ個体の根の細胞でも観察されたため、シロイヌナズナでもBFA処理時に同様の現象が起こっていると考えられる。従って、今後研究を発展させていくにあたって、遺伝学的解析が困難なタバコの細胞に代わって、シロイヌナズナを用いることも可能になった。これらのことから、本研究で得られた結果は、植物細胞におけるゴルジ体形成の分子メカニズムの解明へと繋がる、重要な足がかりとなると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用第2年度目までに明らかにした内容をさらに掘り下げた詳細な実験を行い、動物細胞との比較により、ゴルジ体の最もcis側の槽が、植物細胞では存在しないと長い間考えられてきたERGIC様の性質を持っていることを示唆する結果を得た。さらに、シロイヌナズナ個体における実験により、今後の分子遺伝学的解析へ発展させるための基盤を作ることができた。最終年度である。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)