2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパワー用圧電セラミックスの非線形応答と損失に関する研究
Project/Area Number |
11J09002
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2013-03-31
|
Keywords | 圧電セラミックス / ハイパワー駆動 / 非線形現象 / 損失 / 過渡応答 / ジャンプ現象 / チタン酸ジルコン酸鉛 |
Research Abstract |
圧電セラミックスは近年、大電界・大振幅のいわゆるハイパワー条件下で駆動されるアクチュエータとしての応用が拡大している。このようなハイパワー駆動下での圧電応答を記述するためには、印加電界に対する圧電歪の非線形性とそれに伴う損失を圧電基本式に導入する必要があり、さらに誘電・弾性効果の非線形性と損失も同時に考慮しなければならない。したがって、非線形性を記述するための基本式には通常多くの非線形項と複素定数が必要であり、これらの定数の間の関係について様々な仮定を置かないと基本式を解くことができない。この問題を解決するため我々は、圧電歪は常に分極に比例し両者の間の位相遅れはないという実験事実に着目し、これに基づいて昨年度までに非線形性と損失を含む圧電基本式を導出した。また、圧電セラミックスの過渡応答波形の解析から非線形性を評価する手法を提案した。 本年度はハイパワーで励振下での共振曲線の跳躍現象に着目し、非線形圧電基本式を用いた解析により同現象の発現メカニズムを考察した。その結果、同現象が本質的に弾性効果の非線形性に起因するものであり、非線形弾性効果よって生じたエネルギーの等価な2つの振動状態の間の遷移によって起こることが明らかとなった。また、PZT系圧電セラミックスに関して温度やMn添加量を変化させて測定した実験結果の解析により、微視的には非180。ドメイン壁の不可逆的な動きが同現象の起源であること明らかにした。このように、本研究の成果によって非線形性および損失を考慮した圧電セラミックスの評価とハイパワー駆動化での圧電応答の予測が可能になり、さらに非線形現象の微視的な起源が明らかになった。
|
Research Products
(7 results)