2013 Fiscal Year Annual Research Report
折りたたみによりドナー・アクセプターのヘテロ接合を与える多関節高分子半導体の開拓
Project/Area Number |
11J09024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吹野 耕大 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェロセン / 多関節ポリマー / ナノチューブ / 両親媒性 / 自己集合 |
Research Abstract |
低炭素社会に向けた環境・エネルギー問題への取り組みとして、π共役系有機半導体を用いた有機エレクトロニクスは、有機薄膜太陽電池の開発などとも関連してますます重要になっている。本研究では、「折りたたみ」を利用してドナー(フェロセン部位)とアクセプター(π共役系有機分子部位)のヘテロ接合構造を構築し、高性能な光導電性材料や有機薄膜太陽電池の設計を目的とした。昨年度は、これまでの共有結合高分子からさらに発展させ、銀イオンとの複合化による配位高分子の設計・合成を行った。これにより、疎水効果やπスタックに加え、金属間の相互作用も構造形成・機能化に利用することが可能となり、これらの非共有結合性相互作用を複合的に利用した超分子ナノチューブの開発を行った。本年度は、得られた金属-有機ナノチューブの構造解析を進めて、その未知なる構造を明らかにするとともに、ヘテロ接合構造の作製に向けてチューブ表面の修飾可能性についての研究を行った。ナノチューブの構造については、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、紫外可視吸収(UV-Vis)スペクトル測定、原子間力顕微鏡(AFMI)観察に加えて、新たに溶液試料の小角X線散乱(SAXS)測定を行った。この溶液SAXS測定では、自己組織化により生成した直後のナノチューブを、その構造を破壊すること無く観察することができる。これにより、ナノチューブ構造は溶液からの乾燥過程で形成されるのではなく、溶液中で既に完成していることを明らかにした。また、他の測定方法では不可能なレベルの精確さでチューブ直径を測定することに成功し、分子構造と集合構造が極めて高いレベルで相関していることを明確にした。また、この自己集合分子に機能団を導入したり、さらにナノチューブに接着性分子を混ぜたりという手法により、ナノチューブのさらなる機能化が可能であることを示した。これら一連の研究により、異方的かつ高度に組織化されたナノ構造を有する有機薄膜太陽電池素子の構築のための基盤を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(10 results)