2013 Fiscal Year Annual Research Report
半導体2重量子ドット中の電子スピンを用いた量子ビットの高性能化と量子計算の実現
Project/Area Number |
11J09133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 淳 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ドット / 電子スピン / 量子情報 |
Research Abstract |
本研究の目標は、半導体量子ドット中の電子スピンを量子ビットとして用いた量子計算を実現することである。そのための技術的課題の克服や物理的検証を目指して研究を進めてきた。これまでに、微小磁石による局所磁場を利用することで、従来の報告値よりも1桁高速な120MHz以上のESR動作を実現、単一スピン操作において95%程度と高い忠実度を達成した。また単一電子スピンの位相を電極電圧で直接制御できることを示し、量子計算に有用な50MHzの位相操作を実証するなど、半導体量子ドット中の電子スピン量子ビットの性能の高さを示してきた。 本年度は単一スピン量子ビットの量子操作実験に関してさらに解析を進めた。100MHzのESRを用いることで核スピンとの相互作用時間に比べて短い時間での操作が達成されており、そのラビ振動がこれまで観測されていたものとは質的に異なる振る舞いを見せていることを明らかにした。また、本研究で初めて同系で観測されたシェプロン紋様が、このような高速操作を実現した場合にのみ観測されることを理論的に明らかにした。 またこれらの結果を踏まえ、量子計算に必要な量子誤り訂正の実証を見据えて、3量子ビット系の実装に取り組んだ。このために、高い制御性を備えた3重量子ドット試料を作製した。自由度の高い試料の調整時間を短縮するため、またスピン状態の単一検出を可能にするために、高速読み出しを可能にする高周波測定系を構築した。これにより量子ドット試料の特性評価に要する時間を従来の1割程度にまで短くできた。また、いくつかの3重量子ドットをスピン操作に必要な電子数状態に調整した。さらに構築した測定系における雑音強度と試料の信号強度から、忠実度99%のスピン検出に必要な時間を推定し、緩和時間に比べて非常に短い、4μs程度での検出が可能という見積もりをたてた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(7 results)