2012 Fiscal Year Annual Research Report
光子偏光から量子ドット中の電子スピンへの単一量子間コヒーレント転写の物理の研究
Project/Area Number |
11J09145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 高史 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子情報転写 / 単一電子スピン測定 / 二重量子ドット / 光励起電子 / 二重ヘテロ型量子井戸 / 単一量子間角運動量転写 / スピン閉塞 |
Research Abstract |
当該年度は、目標とするコヒーレント転写の必要条件を探る一環として、二重ヘテロ量子井戸内の二重量子ドットを用いて円偏光から電子スピンへの単一量子間角運動量転写を実証した。昨年度までに実現していた光パルス照射実験や単一光子検出技術を応用し、今回スピン測定の新たな知見を得ると共にこれまで実現例の無かった単一光励起電子スピンの電気的な測定に成功している。固体中で直接スピンを測定するこの手法を用い、安定した単一円偏光照射測定が可能となり、GaAs系量子井戸の選択則に合致する角運動量転写を初めて単一量子間で確かめた。 昨年度に評価したg-因子の制御された量子井戸を用い、二重量子ドット及び隣接する電荷検出器を作成した。測定は光学窓付きの無冷媒希釈冷凍機を用い、最低温は25mKである。ドット内電子数が(1,1)から(0,2)状態へと遷移するエネルギー条件に調整することで、スピン状態に依存したトンネル時間の観測が期待され、そのために有限磁場下での実時間電子トンネル測定を行った。光学系には新たにレーザービーム走査機能を導入し、集光度の高い条件でのビームの位置決めを可能にした。冷凍機内の試料直上にレンズを配置し、微細加工した遮光マスクよりも小さいビーム径(~7μm)を実現した。これにより試料への光照射の影響を大幅に軽減でき、その後の繰り返し照射測定に対する安定性を確保した。 得られた結果を解析した結果、その後いくつかの方面へ研究が進展している。スピン検出精度をより向上するため温度に対してより大きなゼーマンエネルギーが必要であることが分かり、g-因子が大きめの新たな基板を用意した。また、コヒーレント転写には軽い正孔励起が必要であるので、異なる波長での照射実験も進めている。次の位相測定へ向けた高周波測定系も準備をし、高速スピン測定に向けた取り組みが現在進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)