2012 Fiscal Year Annual Research Report
AFMを用いたらせん高分子の構造決定法の確立と応用
Project/Area Number |
11J09164
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂野 元紀 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | らせん高分子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
当研究室では、剛直な主鎖を有するらせん高分子を有機溶媒の飽和雰囲気下、固体基板上で二次元結晶化させることで、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、らせんの向きやピッチ、巻き方向の片寄りを直接観察・決定することに成功している。本研究では、この手法を、従来のらせん高分子だけでなく、条件によってらせん以外の状態(ランダムコイル)をとり得る高分子(フォルダマー)や、低分子化合物がらせん状に積み重なって形成される超分子らせんポリマーに対しても適用した。 メタフェニレンエチニレン(mPE)フォルダマーのらせん構造に関する知見を得るため、側鎖にアミド基を有するポリメタフェニレンエチニレン誘導体(PmPE)を合成した。PmPEは側鎖のアミド基間に働く分子内水素結合によりらせん構造が安定化され、溶液中および固体中でらせん構造を形成した。さらに、固体基板上に二次元結晶化させたPmPEの高分解能AFM観察により、らせんの巻き方向やピッチを含め、らせん構造の詳細な決定に成功した(J.Am.Chem.Soc.2012,134,8718-8728)。 韓国のMyongsoo Leeらのグループとの共同研究として、らせん状ナノチューブの構造解析を行った。 このナノチューブは水中で環状の構成要素がらせん状に多数積み重なることで形成される。ナノチューブの水/THF混合溶液をグラファイト基板上にキャストすると、基板上でバンドル状に配列し二次元結晶を形成することを見出し、高分解能AFM観察により、ナノチューブのらせんの向きやピッチを可視化することに成功した。(Science 2012,337,1521-1526)。 以上の成果は、二次元結晶化を利用した高分解能AFM観察の手法が従来のらせん高分子だけでなく、フォルダマーや低分子化合物の集合体(超分子ポリマー)に対しても有用であることを実証するものであり、学術的にも極めて意義深い。
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Research Products
(3 results)