2012 Fiscal Year Annual Research Report
高精度なMRI診断のための、高速生体内高周波磁場分布計測法の開発
Project/Area Number |
11J09209
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中神 龍太朗 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高周波磁場分布計測 / 9.4テスラMRI装置 / MRスペクトロスコピー / 5-fluorouracil / 低分子量代謝物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高周波磁場(B_1^+)変動による計測誤差を補正したMRスペクトロスコピー(MRS)計測により疾患の診断精度が上昇するか、動物モデルと9.4テスラMRI装置を用いて検討することである。平成24年度では、平成23年度に引き続き5-fluorouracil(5-FU)を投与したラットモデルを作製し、5-FU投与により脳内低分子量代謝物濃度変動があるか、神経細胞・グリア傷害が生じるか検討した。 5-FU投与9日後のモデルを用いて左海馬のin vivo MRS計測を行った。In vivo MRS計測の結果、対照群と比較して5-FU投与群では、左海馬のグルタミン(Gln)濃度が有意に低下した。 MRS計測後の脳を摘出し、摘出脳の過塩素酸抽出サンプルのin vitro NMR計測を行った。ln vitro NMR解析の結果、5-FU投与群で全脳のグルタミン酸・グルタミン(Glx)濃度が有意に低下した。 抗がん剤投与9日後のラット脳を灌流固定し抜脳、脳の組織学的変化を評価した。脳組織のneuron-specific nuclear protein(NeuN),glial fibrially acidic protein(GFAP),glutamine synthetase(GS)染色の結果、神経細胞およびastrocyte、GS陽性細胞数やその分布に明らかな差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では、5-FU投与ラットモデル数を追加し、海馬および全脳における低分子量代謝物濃度変動を調査した。成果として、5-FU投与ラット海馬においてGln濃度変動を生きたまま計測することに成功し、本モデルが研究目的を達成するモデルとして適していると考えられたため、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、高周波磁場(B_1+)変動による計測誤差を補正したプロトン密度計測を行い、より高精度なMRS計測を行う。現在、MRS計測で得られた生データは商用ソフトウェアにおいて計測を行っている。このソフトウェアでは、脳内水分量(プロトン密度)を指標として低分子量代謝物の定量を行うが、プロトン密度は脳の計測領域やB_1+変動により変動することが考えられる。したがって、B_1+補正を施した計測により正確なプロトン密度を定量することが必要である。
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