2011 Fiscal Year Annual Research Report
間欠的低酸素レジスタンストレーニングが筋の適応、糖脂質代謝、身体組成に及ぼす影響
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11J09235
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
今 有礼 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 低酸素 / 運動 / トレーニング / ホルモン / 筋肥大 / 筋力 / 筋持久力 / 糖脂質代謝 |
Research Abstract |
本研究の目的は低酸素レジスタンストレーニングが筋の適応、糖脂質代謝、身体組成に及ぼす影響について明らかにすることである。23年度は、(1)一過性低酸素レジスタンス運動が血中糖脂質代謝マーカーに及ぼす影響、および(2)低酸素レジスタンストレーニングが筋の適応および身体組成に及ぼす影響について検討した。 (1)健常成人男性9名を対象として低酸素および常酸素レジスタンス運動を実施した。レジスタンス運動前後に採血を行い、乳酸、グルコース、遊離脂肪酸(FFA)、インスリン、レプチンを測定した。乳酸およびグルコースは、両環境ともに運動前と比較し運動後で有意に増加したが、運動後の乳酸およびグルコースの値は、低酸素環境の方が常酸素よりも有意に高値を示した。FFAおよびレプチンは両環境ともに運動前と比較し運動後で有意に低下したが、運動後のFFAの値は、低酸素環境の方が常酸素よりも有意に高値を示した。インスリンは、低酸素環境のみ運動前と比較し運動後で有意に増加した。 (2)健常成人男性16名を対象として、低酸素群9名および常酸素群7名に分類し、8週間のレジスタンストレーニングを実施した。トレーニング前後に大腿部の筋横断面積、最大筋力、筋持久力、身体組成を評価した。筋横断面積および最大筋力は、両群ともにトレーニング前と比較しトレーニング後で有意に増加したが、群間における有意差は認められなかった。筋持久力もまた、両群ともにトレーニング前と比較しトレーニング後で有意に増加したが、トレーニング後の値は低酸素群の方が常酸素群よりも有意に高値を示した。体重および除脂肪量は、両群ともにトレーニング後に有意に増加し、体脂肪率はトレーニング後に有意に低下したが、群間における有意差は認められなかった。 以上の結果から本研究は、競技力向上や生活習慣病の予防・改善を目的とした運動プログラムを立案する上で有益なデータとなる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度に計画した研究をすべて実施することができたため、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は23年度のトレーニング実験の前後に採取した筋サンプルからRNAを抽出し、低酸素レジスタンストレーニングが筋内の遺伝子発現に及ぼす影響についてReal-time PCR法を用いて検討する。筋肥大、筋機能(筋力、筋持久力)、および糖脂質代謝に関わる遺伝子発現のトレーニングによる応答を低酸素群と常酸素群で比較検討する。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は今のところない。
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