2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗てんかん薬胎生期暴露による神経幹細胞制御異常と成体マウス行動異常の関連解析
Project/Area Number |
11J09295
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
ジュリアンディ ベリー 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経幹細胞 / ヒストン脱アセチル化酵素 / バルプロ酸 / 大脳発生 / 成体脳神経細胞新生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)バルプロ酸によるヒストン脱アセチル化酵素阻害が胎生期神経幹細胞に与える影響の解明、(2)胎生期から成体期の長期に渡る同阻害影響の解明、(3)同阻害影響を回復・最小化する方策の確立の3点である。これら目的を達成する為、申請者は、神経産生が顕著な時期において妊娠マウスにバルプロ酸を経口投与した。その結果、バルプロ酸投与により胎児の脳におけるヒストンアセチル化が増加した。また、バルプロ酸のアナログであるバルプロミド投与では、ヒストンアセチル化の増加は認められなかった。さらに、胎児における神経産生はバルプロ酸投与により亢進した。これは、成体海馬由来培養神経幹細胞において、神経細胞新生がピストン脱アセチル化作用により引き起こされる事を示した過去の報告と整合性がある。また、この神経細胞新生の様式の大部分は、中間前駆細胞の形成が関与する神経幹細胞からの非直接的な神経細胞産生経路を介し、浅層神経細胞層厚の増加と深層神経細胞層厚の減少が観察された。さらに申請者は、マウス胚性幹細胞由来神経幹細胞を用いた浅層および深層神経細胞産生の評価モデルを確立し、in vitroにおいても同様に浅層神経細胞の産生量増加と深層神経細胞産生量の減少を確認した。加えて、胎児期のピストン脱アセチル化酵素阻害により、海馬歯状回における成体脳神経細胞新生および神経細胞形態は異常を示し、胎児期バルプロ酸投与マウスにおける、後の記憶学習能力の低下の原因の一部だと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Treatment of a mouse model of spinal cord injury by transplantation of human iPS cell-derived long-term self-renewing neuroepithelial-like stem cells2012
Author(s)
Fujimoto Y., Abematsu M., FalkA., Tsujimura K., Sanosaka T., Juliandi B.. Semi K., Namihira M., Komiya S., SmithA., Nakashima K,
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Journal Title
Stem Cells
Volume: 30
Pages: 1163-1173
DOI
Peer Reviewed
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