2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヨウ素原子からの炭素移動に基づく新規メタルフリー炭素―炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
11J09317
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山岡 信貴 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヨードニウム塩 / 一電子酸化 / カチオンラジカル / クロスカップリング / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
炭素-炭素結合形成反応は、有機合成上重要な研究課題である。近年では、遷移金属触媒を用いたカップリング反応が様々な炭素-炭素結合形成を可能とする有力な手法として用いられているが、カップリングのために必要な官能基導入に工程数を要し、等量の金属廃棄物を副生する。また、希少かつ高価な遷移金属触媒を用いなければならないため、サステイナブルグリーンケミストリーの観点から、より直接的で遷移金属触媒を用いない新たな手法が求められている。一方、申請者の研究室ではこれまでに、安全で毒性の低い酸化剤である超原子価ヨウ素反応剤が重金属酸化剤に代わる優れた反応剤となることを明らかにしており、3価のヨウ素反応剤を用いる芳香環への直接的求核種導入反応や選択的なカチオンラジカル生成による混合ビアリール体合成法の開発に成功している。さらに最近では、ジアリールヨードニウム塩を中間体としたヘテロ芳香環のクロスカップリングを見出している。加えて申請者は、この際の鍵中間体であるヨードニウム塩の反応性をさらに精査することで、芳香環の一電子酸化を伴うヘテロ芳香族ヨードニウム塩のイプソ置換反応が進行することを明らかにした。そこで、このヨードニウム塩の簡便かつ効率的な合成法について検討し、環境に優しく安価な過酢酸を用いるジアリールヨードニウム塩の効率的合成法を開発した。また、幅広いヨードニウム塩の反応性についても精査することで、一電子酸化を鍵とする新しいカップリング反応が進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は最近見出した鍵中間体であるヨードニウム塩に着目し、環境に優しい酸化剤を用いることでその実用的合成法を開発することに成功した。幅広いヨードニウム塩の反応性について詳細に検討し、ヨードニウム塩による電子豊富芳香族化合物の一電子酸化を基にした新規クロスカップリングに関する多くの知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において芳香族化合物のヨードニウム塩の反応性について詳細に検討した結果、ルイス酸によるヨードニウム塩の新規活性化法においてカウンターイオンや溶媒の選択が重要であることを見出した。その他のいくつかのヨードニウム塩においても条件を精査することで同様の反応性を示すことを確認しているが、反応性に関して未知な部分も多い。そこで、ヨードニウム塩の反応性の解明を網羅的に行い、その新規活性化法についても検討することで新規合成法の開発と幅広い合成への応用を展開する。
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Research Products
(12 results)