2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J09451
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石崎 孝幸 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ネットワークシステム / 大規模システム / 階層制御系設計 |
Research Abstract |
当該年度における研究では,複雑ネットワーク上で時間発展する多入力線形システム(多入力動的ネットワーク)に対し,ネットワーク構造の直列構造への変換に基づく低次元化手法を提案した.本手法では,H∞ノルムの規範のもと,与えられた誤差精度を満たす低次元モデルの系統的な構成が可能である. さらに,この手法のひとつの拡張として,クラスタ可制御性の概念に基づく,ネットワーク構造を保存する低次元化手法を提案した.本手法では,この可制御性に基づき構成されたクラスタを適切な重みづけのもとで集約することによって,システムのネットワーク構造を保存した低次元モデルを構成しており,こうして得られる低次元モデルは,もとのシステムのネットワーク構造や安定性に加えて,H2ノルムにより評価された上界をもつことが示されている. また,以上の低次元化を利用した制御系設計手法の開発のひとつとして,状態空間の階層的な分解に基づく状態観測器の設計を行った.この状態観測器は,ある種の集中的な観測器と分散的な観測器から構成されており,それぞれの状態観測器は,従来までの完全に集中化された状態観測器と同じ性能を維持しながらも,より低次元で実装可能であることが示されている. これらの研究成果により,対象とするシステムが有する物理的な構造を適切に保存した低次元モデルが得られるため,動的ネットワークの統一的な解析および制御に役立つ基礎理論として,その発展性が期待される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,1年目において多入力動的ネットワークシステムに対する低次元化手法を構築することが目標となっていたが,現時点ではこれに加えて,2年目の計画に含まれていた,低次元化を利用した制御系設計手法(状態観測器の設計)の構築まで達成された.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは,相互作用が双方向的な動的ネットワークに対しての理論構築が主となっているため,今後は相互作用が必ずしも双方向的ではないネットワークシステムに対して,本手法を拡張することが目標となる.さらに,低次元モデルの構成法だけではなく,構成されたモデルを積極的に活用した制御系設計手法を構築することは,本手法の有用性を高める意味でも,非常に重要となる. また,当初の研究計画に含まれていた,非線形動的ネットワークシステムに対する適用可能性の検討も並行して進めていく.
|