2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造単位の規則連結による新規ゼオライト合成プロセスの確立
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11J09486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊與木 健太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼオライト / ビルディングユニット / 低環境負荷 / 吸着 |
Research Abstract |
多孔性アルミノケイ酸塩であるゼオライトは、触媒や吸着剤、イオン交換剤などとして広く工業的に利用されている基幹材料であり、その構造は四配位のケイ素やアルミニウム原子と酸素原子からなるTO4ユニットを基本単位としている。更に、このTO4ユニットがいくつか(数個~数十個)つながることにより、ゼオライト中においてcomposite building unit(CBU)と呼ばれる構造単位となる。これまで、ゼオライトの構造をCBUの単位で理解することは行われてきていたが、これを実際の実験系に応用した例は殆ど無い。本研究では、ゼオライトの構造をCBUにより理解し、実際の合成に活かすことを目指し、有効な合成方法として確立させることを進めている。 本年度では、種結晶法により合成可能なゼオライト種の増加を目指し、これまで達成されていない構造、組成のものについて検討を行った。その結果合成が可能であることが示されたのは、これまで有機構造規定剤なしでは合成されていないPAU型構造を有するECR-18とVET型構造を有するVPI-8であった。また、ECR-18はこれまでのナトリウムを無機カチオンとして添加していた系とは異なりカリウムを用いた反応混合物から得られ、VPI-8はこれまでアルミノケイ酸塩に限定されていた生成物の組成をジンコケイ酸塩に展開させる結果となった。更に、これまでに報告されているベータ型ゼオライトの合成の際に、添加する種結晶の組成はアルミノケイ酸塩に限らず、同様の*BEA型構造を有するジンコケイ酸塩CIT-6を用いた場合にも合成が可能であることを示し、種結晶添加法に於いて種結晶は構造が重要であることを示した。得られたジンコアルミノケイ酸塩の*BEA型ゼオライトは窒素吸脱着等温線において特徴的なヒステリシスを示し、アルミノケイ酸塩の場合とは異なっているという興味深い結果も出ている。この現象の詳細については今後検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
構造単位を組み上げることによる多孔体化は達成している。また、ゼオライト合成において、有機構造規定剤を用いない低コスト、低環境負荷な合成法で合成可能な構造、組成を拡張させた点においても、研究の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
構造単位からの理解により、ゼオライト合成の際に効率良く合成条件の最適化が行える可能性が見えてきている。今後はさらに汎用性が高く、様々な構造のゼオライトにおいて有効となるよう拡張していく。 また、合成のみではなく、反応溶液などに対する新たな評価・分析手法を取り入れることで、現象を突き詰めて理解していく。 研究推進の上で、問題となる点は特にない。
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Research Products
(4 results)