2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造単位の規則連結による新規ゼオライト合成プロセスの確立
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11J09486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊與木 健太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼオライト / ビルディングユニット / 低環境負荷 / 吸着 |
Research Abstract |
結晶性多孔質アルミノケイ酸塩であるゼオライトは、触媒や吸着剤、イオン交換剤などとして広く工業的に利用されている基幹材料であり、その構造は四配位のケイ素原子やアルミニウム原子と酸素原子からなるTO_4ユニットを基本単位としている。更に、このTO_4ユニットがいくつか(数個~数十個)つながることにより、ゼオライト中においてcomposite building unit(CBU)と呼ばれる構造単位となる。これまで、ゼオライトの構造をC30の単位で理解することは行われてきていたが、これを実際の実験系に応用した例は殆ど無い。本研究では、ゼオライトの構造をCBUにより理解し、実際の合成に活かすことを目指し、有効な合成方法として確立させることを進めている。 ゼオライトのビルディングユニット様の分子を合成し、有機修飾を施した。この分子を温和な条件下で結合させ、鋳型となる有機部位を除くことで多孔性シリカが合成可能であることを報告した。 さらに、種結晶法により合成可能なゼオライト種の増加を目指し、これまで達成されていない構造、組成のものについて検討を行った。CBUについての考察から、MER型ゼオライトが得られる反応物を用いることで、PA"型構造を有するECR-18を有機構造規定剤なしに合成可能であることを示した。有機構造規定剤はゼオライト合成時に添加されるものであるが、高環境負荷、高コストの要因となっており、有機構造規定剤を用いないことでそれらの問題を解決可能であると考えられる。また、VET型構造を有するVPI-8についても検討を行い、これまでアルミノケイ酸塩に限定されていた生成物の組成をジンコケイ酸塩に展開させることに成功した。 加えて、これまでに報告されているベータ型ゼオライトの合成の際に、添加する種結晶の組成はアルミノケイ酸塩に限らず、同様の*BEA型構造を有するジンコケイ酸塩CIT-6を用いた場合にも合成が可能であることを示した。得られた*BEA型ゼオライトは大変興味深いことに、中空構造を有することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
構造単位を組み上げることによる多孔体化を達成し、論文を執筆した。 また、ゼオライト合成において、有機構造規定剤を用いない、低コスト、低環境負荷な合成法で合成可能な構造、組成を拡張させ、さらにこれまで見られていなかった興味深い現象を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの方針を用いて、多角的に研究を遂行していく。構造単位の合成、多孔体化は指導する後輩と合わせて行なっている。 また、構造単位からの理解により、ゼオライトを水熱合成する際に効率良く合成条件の最適化が行える可能性が見えてきている。今後は更に検討を進め、未解明部分を明らかにする。 研究推進の上で、問題となる点は特にない。
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Research Products
(12 results)