2012 Fiscal Year Annual Research Report
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11J09524
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
長郷 絢子 (井戸 絢子) 奈良女子大学, 人間文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒーガード分解 / 橋分解 / ヘンペル距離 / 3次元多様体 / graphic |
Research Abstract |
Hempelによって導入されたヒーガード分解の"距離"の概念は,どれくらい効率よく3次元多様体の断面(ヒーガード曲面)が取れているかを測っていると共に,3次元多様体の複雑さも捉えていることが多くの研究者によって明らかにされており,この概念を利用することで3次元多様体に関する様々な問題が解決されている.またHempelやEvansによって,いくらでも距離の大きいヒーガード分解が存在することが示されているが,この結果に対して次のような問題が設定できる. 問題:与えられた正整数nに対して距離がちょうどnになるようなヒーガード分解が存在するか? 本年度は,この問題に対して小林毅教授(奈良女子大学)張娟姫氏(奈良女子大学学振・外国人特別研究員)との共同研究で,次のような肯定的な解答を与えた. 定理1:任意の正整数nと整数g>1に対して,種数gのヒーガード分解でその距離がちょうどnになるようなものが存在する. 加えて,絡み目の橋分解に対しても同様の問題が設定できるが,これに関しても小林毅教授と張娟姫氏との共同研究において,特に絡み目の(1,1)分解に対して次の結果が得られた. 定理2:任意の正整数nに対してある絡み目の(1,1)分解でその分解の距離がちょうどnになるようなものが存在する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度得られた結果は曲面のcurve complexの距離に関するMasur-Minskyの結果を用いたSchleimerのアイディアを巧みに使うことで,距離がちょうどnとなるようなヒーガード分解の構成方法を与えることができ,この手法は今後の展開が期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度graphicを用いて得られた,距離がヒーガード曲面の種数のちょうど2倍になるようなヒーガード曲面の特徴と本年度得られた距離がちょうどnとなるようなヒーガード分解の構成方法をあわせて,距離が種数のちょうど2倍となるようなヒーガード分解をもつ3次元多様体への応用を押し進める.
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