2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J09590
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥田 一志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低複屈折 / 高屈折率 / 機能性高分子 / カルド構造 |
Research Abstract |
4,5-ジアザフルオレン骨格を含むビスフェノール型カルド構造を合成した。得られたモノマーと種々のジフルオロアレーンとの重縮合によりポリエーテルケトンを合成し、その特性について評価した。それらはカルド構造に由来する低複屈折、高耐熱性、非晶性を示し、また多数の芳香族を含むために高い屈折率を示した。 これに金属塩を添加し成膜することで無色透明な薄膜を得た。複屈折は大きく減少したが、屈折率に変化は見られなかった。更なる高屈折率化のために金属イオンの還元が必要と考えられる。また、繰り返し単位に対して200mol%添加しても透明な薄膜が得られた。 続いてプロトン酸を添加して成膜した。得られた薄膜もまた無色透明であり、添加した酸の屈折率が低いために屈折率の向上は見られなかったが、酸の添加量の増大と共に複屈折は減少することが明らかとなった。さらにカルドポリマーは一般的に柔軟性が低いと報告されてきたが、得られたポリマーに繰り返し単位に対して酸を1mol%添加することにより柔軟性が大きく向上した。IRスペクトルから含窒素複素環との水素結合の形成が確認され、分子鎖間の水素結合ネットワークの形成により柔軟性が向上したと考えられる。 これまでカルドポリマーはフラーレンやカーボンナノチューブといった炭素材料をπ-π相互作用により分散する優れたマトリクスとなることが報告されていたが、今回合成した含窒素複素環を含むポリマーはイオン性化合物に対するマトリクスとしての優れた分散能を示しており、有機無機コンポジットとしての更なる展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画通りに複素環を含むカルド構造を合成、重合することでポリマーを得た。さらに金属やプロトン酸を添加してネットワークポリマーを合成し、その特性評価を行った。その結果、含窒素複素環を含むカルドポリマーの有用性について明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、らせん型ポリチオフェンの合成を目指しモノマー合成、重合し、得られたポリマーの特性を評価中である。今後はらせん型ポリチオフェンの構造制御について検討する予定である。また、これまでに合成した含窒素複素環を含むカルドポリマーについて、更なる高屈折率化を志向して金属酸化物や金属単体を均一に分散したコンポジットの合成を検討する予定である。
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