2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛・窒化アルミニウムを用いたハイブリッド深紫外発光素子の開発
Project/Area Number |
11J09592
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 耕平 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 固体発光素子 / 酸化亜鉛 / 窒化物半導体 / 窒化アルミニウム |
Research Abstract |
ZnO/AlNヘテロ界面形成にはパルス励起堆積(PXD)法による結晶成長技術が必要不可欠である。しかしながら、本手法は従来の有機金属気相成長(MOCVD)法や分子線工ピタキシー法に比べ知見が浅く、また非平衡性の高い成長手法であるためデバイスクオリティの薄膜が作製可能であるか不明である。そこで本研究では、すでにMOCVD法により実用化が進められている青色InGaN LEDの試作をパルス励起堆積法により行うことで、素子作製プロセスとしての有用性について検討を行った。 まずPXD法においても成長条件の最適化を行うことで、GaN薄膜のn型およびp型伝導の制御が可能であることを見いだした。特に作製したp型GaN薄膜のキャリア濃度や移動度といった電気特性は、従来報告されているMOCVD法により作製したGaN薄膜のものと比較しても遜色ないことが分かった。またPXD法によりサファイア基板上に作製したInGaNを用いたLED構造に電流注入を行ったところ、明瞭な青色発光を示すことが分かった。以上のようにPXD法においても、デバイスクオリティの薄膜の作製が可能であり、本技術を応用することで、高品質なn型AlNの作製が可能であると考えられる。 また副次的な産物としてPXD法による結晶成長カイネティクスを解析し成長条件を最適化することで、サファイア基板上に極めて高品質なAIN薄膜の作製プロセスを開発した。作製した薄膜の品質は従来報告されているMOCVD法により作製したAIN薄膜のトップデータと比較しても遜色ないことが明らかになった。 以上の結果から、PXD法は発光素子作製プロセスとして非常に有望であり、ZnO/AlNヘテロ界面を利用することで、高効率ZnO/AlNハイブリッド深紫外発光素子の作製が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では、良好なZnO/AlNヘテロ界面の形成に必要不可欠であるパルス励起堆積法を用いて、窒化物半導体発光素子の作製が可能であることを実証した。次年度以降、本技術をZnO基板上に転用することで、ZnO/AlNヘテロ界面を利用した深紫外発光素子の速やかな実現が見込まれる。またその過程でサファイア基板上に極めて高品質なAlN薄膜作製プロセスを開発したことにより、今後の新たな研究展開も期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ZnO/AlNヘテロ界面の作製とその構造・電気特性の評価を通して、p型ZnOからn型AlNへのホール注入の実現を目指す。特にZnO/AlNヘテロ界面の急峻性、構成元素の相互拡散等に着目し結晶成長プロセスの改善、ZnO/AlNヘテロ界面を利用した電流注入によう深紫外発光の実証を行う。 2.前年度に確立したサファイア基板上高品質AlN薄膜作製プロセスの改良を行う。作製した薄膜の転位構造に着目し、高品質化のメカニズムの検討を行い、結晶成長プロセスへのフィードバックを行う。
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