2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J09693
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山中 仁 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Morse理論 / Hecke環 / 絡み目 / GKM多様体 / Markovトレース / 双曲力学系 / 混合絡み目 / Alexander多項式 |
Research Abstract |
1. ソリッド・トーラス(あるいはその補空間)内の絡み目を混合絡み目といい,Lambropoulouにより通常の絡み目のHOMFLYPT多項式の類似物がMarkovトレースを用いて構成されている.本研究ではまずGeck-Iancu-MalleによるMarkovトレースのウェイトの明示公式を用いて混合絡み目のAlexander多項式を再定義し,それを用いて混合絡み目のAlexander多項式と,ソリッド・トーラスに絡まった部分をほどいて得られる部分(これは通常の絡み目に相当する)のAlexander多項式との関係を調べ,それらの間の関係を決定した.具体的にはソリッド・トーラスへの絡み具合をあらわす量と,絡まった部分をほどいて得られる部分のAlexander多項式の積に分解することがわかった. 2. トーラス作用とそれに関して不変な概複素構造をもつ多様体について,トーラスの位相的生成元に着目することにより多様体上のある力学系を構成し,トーラス作用の固定点集合の各連結成分の次元が高々1次元のときにこれが双曲力学系を与えることを証明した.GKM他応対に課せられるGKM条件は局所的な条件であるため,一般の場合に群作用不変なMorse関数の存在を言うのは難しいと思われるが,上記の双曲力学系はMorse関数の定める負乞配ベクトル場の類似物となっており,これを用いることにより,上記の難点を克服できるのではないかと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究者はGKM多様体のMorse理論的側面を追って研究している.一般の(群作用を加味しない)滑らかな関数の場合,Morse-Smale関数の存在が常に言えるが,我々の場合群作用も込めて考察しており,群作用不変なMorse関数の存在に関する一般論はいまだに知られていない.このことが最初の一歩を踏み出すことに支障をきたしている.これが上記の達成度を与えた理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究者はGKM多様体のMorse理論的側面を追って研究しているが,GKM条件は局所的な条件であるため,群作用不変なMorse関数の存在について意味のあることをいうのは難しいと思われる.今後はMorse関数にこだわらるのではなく,それが定める双曲力学系の方に視点を移して研究を推進していく.23年度中に実際にトーラスの群作用固定点が高々1次元の場合にそのような双曲力学系を構成できたので,今後はこれが負乞配流と類似の性質をもつことを示していく.
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