2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J09693
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山中 仁 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 射影代数多様体 / 群作用 / 双曲力学系 / モース関数 / ハミルトン空間 / 表現被覆 / 複素多様体 / コンパクトLie群 |
Research Abstract |
C*トーラスの複素射影代数多様体への群作用に関するBialynicki-Birulaの定理のMorse理論版を証明した.氏の定理は固定点集合が有限のときに,作用を受けている射影代数多様体がC*トーラスの表現と同型な不変開集合で覆われることを示しているが,当研究においてはそのトポロジー版として,コンパクトLie群の作用を受けるコンパクト多様体の固定点で添え字付けられた不変開集合たちによる被覆であって,それぞれが対応する固定点における接表現と同変微分同相となるようなものを表現被覆と名づけ,ある不変双曲力学系の存在が表現被覆の存在を導くことを示した.この定理の系として,不変モース関数の存在が表現被覆の存在を導くこと,言い換えれば,表現被覆の存在が不変Morse関数の存在に対する障害を与えることが分かる.またさらにこのことから,コンパクト・トーラスからの固定点有限作用を受けている任意のHamilton空間が表現被覆をもつことが示される. 次に,上記の結果の逆として,表現被覆の存在が不変双曲力学系の存在を導くかを考え,作用している群がトーラスで,表現被覆が複素チャートを与え,その複素構造に関して作用が正則な場合に肯定的な結果を得た.前年度に位相的生成元を用いた双曲力学系の構成を与えていたが,これが所望の力学系を与えることを証明した.上記の結果と合わせれば,複素多様体への正則なトーラス作用の場合にはある種の不変双曲力学系の存在と表現被覆の存在がほぼ等価であることが分かったことになる.
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