2012 Fiscal Year Annual Research Report
内部に高極性の空間を有する大環状化合物のカラムナー集積化と新機能開拓
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11J09721
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 浩平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 液晶 / 電場配向 / イオン伝導 / フラーレン |
Research Abstract |
本研究では、天然物の中において異色の美しい対称性を有するテロメスタチンに生命が利用できていない潜在的機能が隠されているのではないかという期待のもと、その構造モチーフを戦略的にチューニングし、新機能を開拓している。前年度までに、「テロメスタチン誘導体のカラム状自己組織化」、「カラムナー液品相形成」及び「カラム状構造体の大スケールでの電場配向」を達成していたが、これらはテロメスタチン誘導体の自己組織化能に焦点を当てたものであった。そこで、平成24年度は得られたカラム状構造体の機能開拓に取り組んだ。はじめに、内部空孔を利用した、リチウムイオン透過能を検討した。具体的には、テトラフルオロほう酸リチウムを我々が開発したテロメスタチン誘導体と混合し、-20℃から120℃という、室温を含む広い温度範囲においてカラムナー液晶相を発現することを見出した。締いてイオン伝導度測定を行ったところ、既存のポリマー固体電解質と同程度の伝導度を示した。我々が開発したこのリチウムイオン伝導体は溶液と混合する必要がないため、過酷な温度条件にも耐えうる、液漏れの心配の無い、優れた固体電解質としての応用の可能性が期待できる。続いて、有機半導体としての応用を期待し、種々のフラーレン誘導体を我々が開発したテロメスタチン誘導体と混合したところ、期待通り室温を含む広い温度範囲においてカラムナー液1箔相を発現した。フラーレンとの相互作用に関する詳細なメカニズム及び構造は現在検討中であるが、フラーレンがカラム内に捕捉され、一次元電荷パスが形成されていることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、一次元空孔を利用したリチウムイオン輸送能の検討は3年目の課題であったが、これをすでに2年目に遠成することができた。さらに、フラーレンの捕捉能も見出しており、1我々が開発したテロメスタチン誘導体の自己組織化に伴う多様な機能の発現を示すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、カラム状構造体のフラーレン捕捉能及び、その電荷輸送能を検討していく。また、これまでは液晶相での固体デバイスとしての応用を志向していたが、混合は細胞膜内でのチャネル形成による生命現象の制御といった、他分野への応用も検討していく。
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