2012 Fiscal Year Annual Research Report
外部環境変化によるゲル化と異方性発現のメカニズムについての研究
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11J09767
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
富田 奈緒子 群馬大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 異方性 / 複屈折 / 輸送現象 / 架橋構造 / 自己組織化 / 非定常熱力学 / レオロジー / 界面 |
Research Abstract |
異方性ゲルは濃厚な高分子溶液を架橋剤溶液の中に浸漬し、その界面から透析を起こさせゲル化と配向を起こさせる比較的単純なシステムであるが、界面を通した濃度の勾配という非常に小さなエネルギーで分子が凝集し大きな構造を作るという点に特色がある。本研究は非定常熱力学を用いて行なう基礎的な研究であり、異方性材料の形成過程や物性の理解に役立つと思われる。このような系を用いた研究は申請者らのグループのみで行われてきたが、最近、高強度ゲル生成への応用(Gong et al., Advanced Materials, 2008)、パターン形成研究への応用(Narita et al, Langmuir, 2007)がなされ、広がりを見せている。ゲル構造あるいは異方性についての先行研究は申請者のグループから発表されているが、本研究が目指す蛍光プローブを用いた分子形態変化の研究やシミュレーションに関する先行研究はない。また、幾何学的条件の変化による振動現象など予備的実験から得られたものについても先行研究はない。結晶表面描像を用いた高分子鎖の変形のシミュレーションは異分野の知見を援用するという意味で独創的である。また、高分子溶液中に透析膜を介して架橋剤が進入し配向する行程はゲル中における高分子の蠕動運動についての一般的な知見を与えると考えられる。また、その運動パターンが複屈折で見られる大きなパターンを形成していることから、分子の自己組織化のメカニズムについての記述を可能性にすると思われる。また、透析膜により誘起される生物現象のモデルとして、蚕の液状絹を用いたレオロジー測定を行い、複雑系への応用も行った。その研究成果をまとめ、日本バイオレオロジー学会年会ベストポスター賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物質の選択的透過により誘起されるゲル化と異方性のメカニズムの研究に関しては、外部環境を変化させることによってその機構が明らかにされつつある。物質の選択的透過により誘起されるゲル化における幾何学的条件とメソゲンの種類の影響については、一次元のセルを用いた実験や、界面に曲率を与えるなどの条件下での研究が進んでいる。異方性発現のダイナミクスと最終状態における物理化学的状態を制御する因子としてずりを取り上げ、溶液に作用するずりの影響に関する実験を行った。透析膜により誘起される生物現象のモデルとして、蚕の絹糸腺を用いたレオロジー測定を行い、絹糸腺の熱応答、周波数応答について検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、異方性ゲルを様々な外部環境下に置くことで起こる形成過程への影響を明らかにすることに重点を置いている。また、蚕を用いた複雑系への応用も進んでおり、今後の推進方法についてもビジョンがある。研究の方向性に関しては、高分子溶媒と非溶媒との接触界面における構造形成過程における、セル内部のイオンの流動やゾル-ゲル界面の曲率の違いなどが異方性の発現に影響を与えるなどが考えられ、外部環境の設定が任意性を持つことが予想されるため、より詳細な実験が必要である。
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Research Products
(6 results)