2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原菌の細胞内への侵入機構をターゲットとした新しい歯周病制御法の確立
Project/Area Number |
11J09815
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
萩原 真 国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 特別研究員PD
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Keywords | エンドサイトーシス / Rab5 / 感染制御 / 低分子量Gタンパク質 / 歯周病 / 細菌感染 / メンブレントラフィック |
Research Abstract |
P. gingivalisは、歯周病において最も毒性の強い細菌である。近年、P. gingivalisがエンドサイトーシス機構を利用し細胞内に侵入することが報告されており、歯周病制御法を開発するためにはエンドサイトーシス機構の解明は必須である。現在、エンドサイトーシスには低分子量Gタンパク質Rab5が重要であると考えられており、Rab5に対して様々な因子が結合することによって、エンドサイトーシスが進行していくと考えられているが、その仕組みは謎が多く、未だ明らかにされていないRab5結合因子が多数存在する。そこで、本研究ではエンドサイトーシスに着目し、歯周病菌の細胞内への侵入機構を明らかにし、最終的には新しい歯周病制御法の開発を目指す。 まず始めに、Rab5と相互作用する因子の同定を試みた。その結果、Rab5とXが結合することを見出した。次に、Rab5とXの相互作用がどのような形態のエンドサイトーシスに関与するのかを明らかにする目的で、様々なエンドサイトーシスマーカーを用いて解析を行った。その結果、Rab5とXの結合は細菌の細胞内への侵入に関与することが明らかとなった。そして、Rab5やXの発現が細菌の細胞内への侵入時に影響するか否か検討する目的で、siRNAを用いて解析した。その結果、Rab5及びXをノックダウンした細胞では、細菌の細胞内への侵入が抑制された。さらに、XがRab5の活性に関与するか否か検討する目的で、siRNAを用いてXをノックダウンし解析した。その結果、コントロール細胞と比較して、Xをノックダウンした細胞では、細菌侵入時にRab5の活性が抑制されていた。 以上の結果より、細胞内においてRab5とX依存的なエンドサイトーシスが存在し、このエンドサイトーシスは細菌の細胞内への侵入に重要であることが明らかとなり、この分子をターゲットとした歯周病制御法の開発に応用が可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はエンドサイトーシス機構を利用した、歯周病原菌などの細胞内への侵入機構を明らかにするために、低分子量Gタンパク質Rab5と新規な相互作用因子であるXについて解析を行った。その結果、Rab5とXによる新しい細菌の侵入機構を明らかにすることができた。よって、新しい歯周病治療法開発に向けて順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進んでおり、当初の予想通り、歯周病原菌がエンドサイトーシスによって細胞内へ侵入することが明らかになると共に、新たな宿主側の因子を見出すことができたことより、引き続き培養細胞レベルでこの仕組みを明らかにしていくことを予定している。現在のところ、メカニズムに焦点を絞って解析を進めており、今後このメカニズムを応用するためには、効率良くエンドサイトーシスを制御する因子を探索する方法が必要となってくる。現在、安定発現株の作製などを検討している。
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