2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原菌の細胞内への侵入機構をターゲットとした新しい歯周病制御法の確立
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11J09815
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
萩原 真 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 特別研究員PD
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Keywords | エンドサイトーシス / Rab5 / 感染制御 / 低分子量Gタンパク質 / 歯周病 / 細菌感染 / メンブレントラフィック / 炎症 |
Research Abstract |
P. gingivalisは、歯周病において最も毒性の強い細菌である。近年、P. gingivalisと全身疾患(心疾患、糖尿病、早産など)との関連性が明らかにされてり、歯周病制御法を開発するためにはエンドサイトーシス機構の解明は不可欠である。 昨年度は、Rab5と新規相互作用因Xを見出し、歯周病菌などのエンドサイトーシス機構に関わることを明らかにしている。今年度は、Rab5とXの関連性について詳細に解析した。XのPIP2結合能及びXの活性とエンドサイトーシスとの関連性を明らかにするため、PIP2結合能が低下した変異体と活性型変異体を用いて解析を行った。その結果、PIP2結合能が低下したX変異体はエンドサイトーシスに変化はなかったが、活性型変異体はRab5との結合が増し、エンドサイトーシスが促進した。また、エンドサイトーシスとMAPKとの関連性について検討した。その結果、Xをノックダウンした細胞では、細菌侵入時にMAPK(JNK、p38、ERK)のリン酸化が低下し、炎症性サイトカインIL-6の発現も低下していた。さらに、エンドサイトーシスとXとの関連性をマウスを用いてin vivoで解析した。その結果、Rab5及びXsiRNAをマウスに導入すると、エンドサイトーシスが抑制された。また、Rab5やXをターゲットした歯周病制御因子(低分子化合物)の探索を試みた。その結果、Rab5やXをターゲットとする可能性のある化合物を複数得ることができた。 以上の結果より、細胞内においてRab5とX依存的なエンドサイトーシスが存在し、このエンドサイトーシスは細菌の細胞内への侵入に重要であることが明らかとなった。この分子をターゲットとした歯周病制御法の開発に応用が可能であると考えられ、現在、詳細なメカニズムを明らかにすると共に低分子化合物との関わり合いについても解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
去年度に引き続きエンドサイトーシスによる歯周病菌の細胞内への侵入機構を明らかにするために、低分子量Gタンパク質Rab5と新規な相互作用因子であるXについて詳細に解析を行い、新たな知見を得ることができた。また、歯周病を制御する可能性のある低分子化合物を得ることができた。よって、新しい歯周病治療法開発に向けて順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り順調に研究が進み、歯周病原菌がRab5やXによって細胞内へ侵入する詳細なメカニズムが明らかになると共に、応用を視野に入れた研究において、歯周病を制御する可能性のある因子を得ることができた。引き続き詳細なメカニズムを明らかにしていき、また低分子化合物の細胞毒性や作用メカニズムを明らかにしていくことによって、さらに研究が発展していくものと考えられる。 また、現在行っている培養細胞レベルでのデータがin vivoで反映されるかが重要であると考えており、in vivoでの詳細な解析を検討している。
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