2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経疾患治療を指向した神経栄養因子受容体に対する新規低分子リガンドの創製
Project/Area Number |
11J09835
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 政彦 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経成長因子 / 三環系 / 神経障害 |
Research Abstract |
1.神経障害に対してNGFなどの神経栄養因子が有効であると言われ、その受容体であるTrk受容体ファミリーに対する低分子有機化合物のリガンドが発見されている。本研究では、リード化合物の選定が容易と考えられるNGF受容体であるTrkAに対する低分子有機化合物によるリガンド(アゴニスト/アンタゴニスト)創製と構造活性相関の獲得を目的とし、さらに他のサブタイプ(TrkB、TrkC)への拡充を目指した。これを達成するために以下の手法によって研究を行った。 2.リード化合物の分子デザインとその合成法:スクリーニングにより見出された低分子有機化合物のTrk受容体アゴニストの構造を参考にすると、三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)のような平面性の高い多環構造の基本骨格を持ち、そこから炭素数3程度の空間的距離を取り、その末端がアミンなどの塩基性官能基であれば、リガンドとなりアゴニスト活性が得られると考えた。そこで、申請書記載の、フェナンスリジノン骨格をはじめとする平面性の高い骨格を、基本骨格候補として採用した。また、誘導体展開を行っていくための合成経路の検討を行い、各種の三環系のリード化合物を得た。 3.活性評価:合成した候補化合物を用いて、PC12細胞(ラットの副腎髄質由来の褐色細胞腫)を処理し、形態変化による樹状突起の伸長を観察することで、化合物のTrkAアゴニスト作用を評価しようとした。Positive controlである神経成長因子NGFの投与では、再現性良く形態変化が見られたものの,低分子化合物のpositive controlである三環系抗うつ薬Amitriptylineや自らが合成した化合物群では、再現性が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合成した候補化合物を用いて、PC12細胞(ラットの副腎髄質由来の褐色細胞腫)を処理し、形態変化による樹状突起の伸長を観察することで、化合物のTrkAアゴニスト作用を評価しようとした。 Positive controlである神経成長因子NGFの投与では、再現性良く形態変化が見られたものの、低分子化合物のpositive controlである三環系抗うつ薬Amitdptylineや自らが合成した化合物群では、再現性が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
TrkAに関する別の活性評価系の検討を行うとともに、リード骨格(中央の環が6員環であるフェナンスリジノン骨格)の汎用性を示すために、抗ウイルス活性や各種の核内受容体の転写活性などについて広く生理活性の検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)