2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の認知機能低下予防に有効な介入プログラム開発と効果検証
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11J09862
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
牧迫 飛雄馬 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援開発研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 軽度認知障害 / 認知症 / 高齢者 / 近赤外分光法 / 運動 / 歩行 / 脳容量 |
Research Abstract |
本研究では、軽度認知機能障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者における脳活動活性化のための介入方法や行動特性の検証を行い、脳活動の活性化の促進を目的とした効果的な介入方法を探り、その介入効果を明らかとすることを目的とした。特に後期高齢者や超高齢者においても安全に実施可能なプログラムを作成することとした。 まず、MCI高齢者91名(74.2±6.3歳)を対象として、有酸素運動能力と記憶機能、脳萎縮との関連を調べた結果、有酸素運動能力は各記憶機能検査の値と有意な正の相関であり(r=0.303~0.394、p<0.0l)、年齢と性別で調整した後でも一部の記憶検査については、関連性が有意であった(β=0.192~0.250、p<0.01)。また、左海馬、右後部帯状回における脳容量と有酸素能力とは有意な関係が認められ、有酸素運動能力の低下はこれらの領域での脳萎縮と関連していた。さらに、健忘型MCI高齢者64名(71.8士4.3歳)を対象に認知課題中の脳皮質活動を測定した結果、日常生活で老人会や町内会、その他のサークルなどの会合に参加する頻度が少ない群(週1回以下)では、頻度が多い群(週数回以上)に比べて認知課題中の前頭前野背外側部の脳血流が低下していた。このことより、積極的な身体活動を向上させて有酸素運動を高めて、人的な交流も促進することが認知機能低下予防には効果が期待できるものと考えられた。 また、本研究では地域在住高齢者を対象に招聘型の調査を実施して、データの使用に関しての同意が得られた75歳以上の後期高齢者1,555名のうち、248名(15.9%)がMCIと判定された。これらの対象者に対して、運動や人的交流を促して介入効果を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
受入研究機関での研究プロジェクトとの協同による介入研究の進捗が順調であり、そのため本研究においても計画より進展度合いが良好である。介入効果を多面的に検証するための脳の形態や脳活性化の分析に関しても、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、計画よりも順調に進捗しており、研究結果の科学的な根拠の質を高めるために、該当領域の先進的な研究活動に従事している外国研究者との交流をより一層強めていく予定である。現状では、研究を遂行する上での問題点は生じていないが、とりわけ脳画像や脳血流に関するデータは膨大な解析データが必要となるため、分析に時間を要することが懸念される。可能な範囲で研究計画を早めに移行して、解析に十分な時間を割くことができるように対応する。
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Research Products
(18 results)