2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子育種への応用に向けた植物ミトコンドリア多様性の基礎的解析
Project/Area Number |
11J09925
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 健太 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミトコンドリア / 植物生理 / 育種 / 脂質 / 生体膜 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
ミトコンドリアは共生起源の細胞内小器官で多くの物質生産に関わり、植物においてハイブリッド種子の生産を容易にする細胞質雄性不稔(CMS)にも深く関与するため、農作物を含む植物の育種研究において基礎的かつ重要な研究対象である。植物におけるミトコンドリア研究はこれまで、呼吸やmtDNA、ストレス応答などに関するものが中心であったが、近年では、ミトコンドリア形態がミトコンドリアの機能を読み解く鍵として、動物や酵母ではその生理的意義について解析が進んでいる。しかし、植物でのその動態の研究は端緒についたばかりであるため、本申請課題では、ミトコンドリアの組織内分化の観察、生育不全のミトコンドリア形態変異体の単離、ミトコンドリア脂質の解析を通して、ミトコンドリア多様性の生理的意義を明らかにすることを目的としている。本年度はまず植物体内のそれぞれの組織間におけるミトコンドリア形態の多様性を記述するために、各種ミトコンドリア蛍光標識ラインの作出の準備を行った。その結果、従来から使用するミトコンドリア内膜の蛍光マーカーの他に、ミトコンドリア外膜を蛍光標識するためのベクター等を作出した。また、一過的発現系においてこれらがミトコンドリア形態を著しく変化させることなくミトコンドリアを観察できることを確認した。今後、恒常的な蛍光標識発現ラインを作出することで、植物体組織間でのミトコンドリア形態の多様性について明らかにしていきたい。また、ミトコンドリア形態の生理的意義を明らかにするため、ミトコンドリア形態が異常な変異体の中から生育に異常があるものについて単離し、現在原因遺伝子の同定を行っている。さらに、脂質とミトコンドリアの関係を明らかにするため、ミトコンドリアを構成する膜脂質であるカルジオリピンの欠損変異体やその他の変異株についてもミトコンドリア形態に関わる蛋白質の可視化ラインを作出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
受け入れ研究室所蔵の変異体ラインを活用することにより、変異原処理等のスクリーニング工程を省くことが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もほぼ計画の通り研究を進めていく。
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