2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子育種への応用に向けた植物ミトコンドリア多様性の基礎的解析
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11J09925
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 健太 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミトコンドリア / カルジオリピン / オルガネラ / 植物 |
Research Abstract |
本研究課題では、ミトコンドリアの組織内分化の観察、生育不全のミトコンドリア形態変異体の単離、ミトコンドリア脂質の解析を通して、ミトコンドリア多様性の生理的意義を明らかにすることを目的としている。ミトコンドリア形態の生理的意義の解明のため、ミトコンドリアの組織内分化の観察を行った。その結果、ミトコンドリアが激しくその形を変える植物ホルモン条件や組織内の部位があるとの予備的な結果を得た。また、ミトコンドリア分裂や配置が異常な変異体では、その組織がうまく機能していなかった。今後さらに検討を進めたい。生育に関わるミトコンドリア形態に関わる遺伝子を特定するため、変異体のラインについてラフマッピングおよび次世代シークエンサーを用いた解析を行い、EMSで導入されうる変異と同様の変異を原因遺伝子が存在すると思われる領域に発見した。現在、この変異がミトコンドリア形態異常の原因遺伝子であるか、相補実験を行っている。さらに、脂質とミトコンドリアの関係を解明するため、ミトコンドリアを構成する膜脂質であるカルジオリピン欠損変異体やその他の変異株についても引き続きミトコンドリア可視化ラインを作出した。特にカルジオリピンがミトコンドリア融合に与える影響について、野生型およびカルジオリピン欠損変異体でミトコンドリア融合頻度を詳細に測定した。それらの結果、カルジオリピンはミトコンドリア外膜の融合には関与せず、内膜の分裂および内膜の融合に重要な役割を果たしていた。これまでミトコンドリア外膜の融合測定系などミトコンドリアの二重膜に着目したミトコンドリア形態の解析は植物で報告されておらず、また、ミトコンドリア融合が欠損した変異体も植物では初めての報告となる可能性がある。さらに、生物全体で、カルジオリピンが単独でミトコンドリアの融合及び分裂の両方に関与することが示された初めての報告となる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に記載した、(1)植物ミトコンドリア多様性の観察、(2)育種への応用に向けた植物におけるミトコンドリア融合変異体の単離、(3)CL関連変異体のさらなる解析について、それぞれ、(1)今後の解析が期待される期待以上の成果、(2)期待した融合の変異体は得られていないものの新規遺伝子の記述という概ね順調な結果、(3)期待以上の成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の予定通り今後も研究を推進し、成果を発表する。
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