2011 Fiscal Year Annual Research Report
実機条件における原子炉圧力容器鋼中の不純物元素拡散係数の導出
Project/Area Number |
11J09980
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蔵本 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子炉圧力容器鋼 / 拡散 / 3次元アトムプローブ / Cu析出物 |
Research Abstract |
この研究は原子炉圧力容器鋼中のCu等の不純物元素の拡散係数を原子炉稼働時の圧力容器の温度(300℃)にできるだけ近い温度において、実験的に求めることを目的としている。本年度は測定のための材料加工技術や測定時の条件の最適化を行い、純Fe中の不純物の拡散係数を実際に求めるところまで行う計画で実験を進めてきた。震災の影響や装置トラブルのため、やや遅れ気味ではあるが、3次元アトムプローブにおいて実際に測定するところまで行うことができた。以下に本年度に実施した内容の詳細を記述する。 ・純Fe試料の準備(加工) ・焼鈍のための試料封入技術の習得 ・焼鈍用の装置の整備(熱電対の校正、電気炉の整備等) ・不純物蒸着装置の修理 蒸着用の純金属試料を入れるるつぼが急激な温度変動のため割れ、溶けた金属がヒーター等を破損させた。これを改善させるため、温度の変動速度を制御できるコントローラーを導入した。 ・純FeにCuを蒸着。 ・蒸着面を狙ってアトムプローブ用サンプルを作成するためのFIB加工の技術確立 ・蒸着したまま材、及び700℃焼鈍した試料の3次元アトムプローブ観察。 3次元アトムプローブ観察により、純Fe中においてCuが蒸着表面から拡散している様子が観察され、その濃度分布を求めることができた。また、拡散時にCu原子どうしが集まって集合体(クラスター)を作ることが観察された。これはFe中のCuの拡散速度に大きく影響を及ぼすと考えられる。また、蒸着装置の整備や、蒸着条件、技術の確立、3次元アトムプローブ測定の条件の確立等を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災により3次元アトムプローブが故障し、修理に時間がかかった。また、蒸着装置が故障し、故障原因の解明と対策のための時間が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより低温において不純物を拡散させ、その温度での拡散係数を求める。また、原子炉圧力容器において同様の実験を行い、不純物の拡散係数を求める予定である。
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