2011 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル語母音調和の音声学・音韻論的研究―その獲得・類型をさぐる―
Project/Area Number |
11J10039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
旭 友貴 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | モンゴル語 / 母音調和 / 言語獲得 / 言語類型論 / 最適性理論 |
Research Abstract |
申請書にもあるように,本研究は理論的枠組として現代の音韻論において主流となっている理論の1つである最適性理論(以下OT)を採用するとしているが,より研究の目的に適った枠組みの探求を放棄しているわけではない。特に本年度ではミニマリスト・プログラム(以下MP)の枠組みに基づく母音調和の分析に対して検討を加えた。この成果については2011年11月に東京音韻論研究会で発表を行ったが,さらに日本英語学会からの懲懸を受けて執筆したLocality in Vowel Harmony(Nevins 2010)の書評という形でもまもなく発表される予定である。 子どもの言語の獲得についての研究は非常に盛んに行われているが,その中でも母音調和の獲得についての研究は非常に少ないというのが現状である。本年度は現地調査およびその後の分析に向けた理論的側面の研究,とりわけOTに基づいた文法獲得のアルゴリズムから予測される子どもの獲得のパターンについて分析を行った。この成果については2012年2月に第7回音韻論フェスタにて発表を行った。 2012年の3月に本助成事業の補助を受けて約2週間の現地調査をモンゴル国ウランバートル市にて行った。渡航前に予測できなかった事象や準備不足もあり,今回の調査単独で発表できる成果は得られなかったと言わざるをえないが,今回の反省等を次年度以降に予定している調査に生かして成果としたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に述べたように,現地調査については準備不足などにより当初予定していたよりも成果を得ることが出来なかったが,それ以外の理論研究の部分については順調に進行していると考えている。またその現地調査についても次年度以降の調査への反省として生かせると考えられるので,研究全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
モンゴル語の母音調和および子どもの母音調和の獲得についての理論的側面の研究は引き続き進めていく。そしてその理論的研究の成果を生かし,より成果のある現地調査を遂行したいと考えている。また,その研究の中で得られた成果の発表も積極的に行なって行きたい。
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