2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J10266
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
嶋 秀明 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | M細胞 / IgA受容体 / パイエル板 |
Research Abstract |
初年度の第一目標として、「M細胞の機能評価のための基礎データとして、経口投与法、ループアッセイ法による蛍光ビーズ取り込み試験を行って、野生型マウスでのビーズの取り込み率の個体差による偏りを統計的に明らかにする。」を行った。その結果、個体によってパイエル板M細胞でのビーズの取り込みには最大10倍程度の差があり、また、腸管上部(胃に最も近い)のパイエル板よりも、腸管下部(盲腸に最も近い)のパイエル板の方がビーズをより多く取り込む傾向にあることが明らかになった。また、この結果から、パイエル板のビーズの取り込み能を比較する際、ループアッセイに用いるパイエル板は、上部のものを扱うよりも、下部のものを扱う方が、試験に適切であるという事が明らかになった。 続いて、「IgA結合蛍光ビーズと、異なる蛍光色のビーズにIgGなどのIgAとは異なるタンパク質を結合させた蛍光ビーズを用いて、M細胞上のSIgA取り込み率を検討する。」を行った。この結果は、予想とは異なる結果が得られた。これまでの報告では、IgAのみがM細胞に付着、取り込みが行われ、IgGはその限りではないとされてきていた(Mantis et al. J Immunol.169,1844-1851.2002)。しかしながら、本試験で用いた、IgAまたはIgGを結合させた異なる蛍光を発するビーズを同時に投与した場合、蛍光ビーズとIgの組み合わせを入れ替えた場合も考慮すると、その取り込み比率は同等であった。この結果は、M細胞上にはIgA受容体のみならず、IgG受容体の存在を示唆する結果である。 本結果は新規のM細胞受容体の存在を示唆し、今後のM細胞研究において、重要な基礎となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画であった、パイエル板の取り込み能について、基礎となるデータをおおむね順調に取得し、かつ、新規の情報として、IgG受容体の存在を示唆することが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
本試験では、M細胞による蛍光ビーズの取り込み能を、IgA,IgGそれぞれを結合させたものを投与し、計測しているが、新規にIgG受容体の存在が示唆されたために、本手法のままでは、今後の試験を続けることが難しい。そこで、この問題を解決するために、IgA、IgG以外のタンパクを対照群として用いるなど、当初とは異なる研究手法が必要となる。
|
Research Products
(2 results)