2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J10482
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 伸次 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 冥王代 / 大陸地殻 / ジルコン / 包有物 / ジャックヒルズ |
Research Abstract |
冥王代(40億年以前)の初期地球大陸進化を解読するために、西オーストラリア・ジャックヒルズ地域における礫岩サンプルから大量のジルコン鉱物を分離し、LA-ICP-MSによるジルコンのU_Pb年代分析、およびレーザーラマン・SEM-EDS・EPMAを用いてジルコン中に含まれる微小包有物分析を行った。昨年度の年代分析結果から、冥王代の年代値を示すジルコンは最大10%程度存在することが明らかとなったが、そのようなジルコン粒の特徴(形状・色・粒径・CL像)に基づき選択的に年代分析を進めた所、平均で20-30%(最大で約40%)の冥王代ジルコンを同定することができた。従来の研究から示されている回収率(約8%)から3-4倍の向上となった。ジルコンに含まれる包有物として、いまだマイクロダイヤモンドは同定されないが、量的に僅かであるが初性的なアパタイトを見出すことが出来た。アパタイトのSrやY組成は母岩マグマの全岩化学組成と良い相関を示すことが知られており、冥王代ジルコンの母岩の推定に有用である。現在の所、冥王大ジルコン105粒中、6粒のアパタイトを同定した。先行研究では、冥王代ジルコン中の包有物としてアパタイトは二次的な変成・変質によって失われていると考えられてきたが、冥王代ジルコンの回収率の向上、微小包有物分析手法の改良、およびレーザーラマン分析手法の改良により、これまで見落とされていた冥王代ジルコン中のアパタイト包有物を同定することができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冥王代ジルコンの回収率向上、およびジルコンに対する微小包有物分析技術の向上が大きく進展した。特に、冥王代ジルコンの微小包有物分析において、これまで見落とされていたアパタイト包有物を同定したことは、現存しない冥王代の固体地球進化を解読する上で、重要な突破口となる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した冥王大ジルコン中のアパタイト包有物について、EPMAおよびNano-S-MSをもちいて、鉱物化学組成と同位体分析を行う。特に、アパタイトのSrO,Y_2O_3組成から母岩マグマの制約が可能であり、アパタイトはU-Pb系の年代測定が可能である。また、冥王代ジルコン中のアパタイトのSr同位体分析は、これまで不明であった冥王代のマントルおよび地殻の化学進化の情報を与えうる。得られた包有物データを順次まとめ、変成岩・火成岩岩石学的側面からアパタイトおよびジルコンの起源を考察する。これまでの成果まとめ、国際学会や国際雑誌に投稿する。
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Research Products
(4 results)